ストック1

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公園で中年くらいのスーツを着た人が
ベンチで疲れきった様子でコーヒーを飲んでいた
哀愁を誘うその姿に
僕は毎日の勉強で疲れ果てた自分を重ねた

なんとなくその人の隣に座り
「大丈夫ですか?」と声をかけた
スーツの人は訝しげにこちらを見たあと
「君こそ大丈夫か?なんだか疲れていそうだ」
と逆に心配してくれた

僕は「大丈夫じゃないかも」と答え
自分が日々の勉強で疲労困憊であること
友達と遊ぶ機会も減って
距離ができてしまったことを話した

スーツの人は「それはよくないな」と言い
自分の過去について喋りだす
自分も昔は遊ぶ時間を削ってまで
必死にたくさん勉強して、
いいところへ進学し、無事就職もした
けれど勉強はできても、
仕事までは順調には行かず、
自分よりも勉強してきておらず、
友達とたくさん遊んできたであろう同期たちに
次々と実力で抜かされていったのだと

その人が言うには、
遊びを犠牲に勉強ばかりしても、
社会で自分を活かすのは難しいらしい
人と交流したり遊んだりすることも大事なのだそうだ
「それぞれのバランスが大事だって、
当時は気づかなかったんだ
後悔してるよ
君はまだ軌道修正できるから、
がんばって勉強しながら、
友達と遊んだり、好きなことにも打ち込むといいよ」

それを聞いて僕は、
自分自身の在り方をもう一度考えようと思った
今までの僕は必死になりすぎていた気がする
スーツの人に感謝した僕はお礼を言って、
「がんばってください
きっとあなたもまだ、
軌道修正していい方向に行けると思います」
と付け加えた
「ありがとう
君を見てたら、なんだかがんばれる気がしてきたよ」
そう言うとスーツの人は、
少し元気になった様子で手を振りながら去っていった

11/4/2024, 12:07:07 PM