【今を生きる】
時々、囚われてしまう
未来への不安や、過去への後悔に
身体はここにあるのに
心はここにいない
「今を生きる」というのは
ただ『今を感じる』ことだ
例えば
美味しいものを食べた時に
ちゃんと味わうこと
景色を見て
美しいと思うこと
誰かと関わるとき
その人を愛おしむこと
それぞれは小さなことのようで
ちりのように積み重なれば
大きな幸せになる
小さな日々を感じることが
今を生きることに繋がっていく
どうか感じきって
今を生きていたい
僕らの生きる時間は有限だから
迷っている暇があるなら
ただ、今を感じて生きていこう
【冒険】
思い立ったから
海へ行こうと思った
切符を買って
電車に乗り込み
車窓に流れる
田舎の道を眺めていた
徐々に景色が変わり
水平線が見えてくる
ボタン式の電車を降りて
10分ほど歩くと海があった
風がびゅうびゅう吹いて
荒波が立っていた
想像していた海は
もっと青く透き通っていて
優しい波があると思っていた
実際は
激しく波が打ちつけ
灰色の空と海
風が立つと砂が舞って
身体中にぺたっと張り付く
レジャーシートを敷いてみたけれど
すぐに砂に埋め尽くされそうになる
嫌気がさして
じっと波を見つめていたが
帰ることにした
帰り道、海に背を向ける
さっきまで吹きつけていた風は
遠くでまだ唸っている
砂だらけの髪を払いながら
私は少しだけ笑った
思い描いた海じゃなかったけど
どんな荒波も、今日の私だけの海だ
灰色の波音が
遠くでまだ鳴っていた
【君の背中を追って】
記憶の中の君は
いつも誰かを喜ばせようとして
おどけて笑っている
今はもう君は居ないけど
いつだって昨日のように
懐かしんでは
少し胸がチクっとする
私はあまりにも幼すぎて
君の何も知らなかったような
そんな気がした
それでも君が大好きだった
なぜなら君が私を大好きだって
君が私を喜ばせようとするたびに
伝わっていたから
君が私にくれたものを
今度は私が誰かに渡したい
君がくれた愛を
絶えず渡し続けられるだろうか
君のような
朗らかで愛のある人になりたい
お彼岸にそんな願いを込めて
君に伝えたい
もう心配しないでね、と
【君だけのメロディ】
君の、さらっとした髪が
そよぐ風に揺れながら
君は口ずさんでいる
それは
君のための、君だけの歌
少しくたびれた
Tシャツを着ながら
それを着こなすみたいに
自然に歌う
君は、時々
不安で怖くなる日があると言う
そんな気持ちさえ
包み込むように
そのままの君が
感情と魂を音にしている
君の歌は、君の人生だ
君の不安も、恐怖も
そのすべてが尊くて
君である印のようだ
僕には、君をすべて包むことは
難しいけれど
君の歌を、讃えたい
この歌は
君の人生であり
君の道である
どうか、
どんなメロディも
どんな感情も
そのまま、ありますように
【夢見る少女のように】
時計が0時を指して
夢を見る
君と私で
夜明けまで踊ろう
現実が隔てた私は
ベッドに置いてきた
君と調和する
ミルクティーのように
やさしく溶け合って
いつからか
忘れてしまっていた
ふたつの童心が目を覚ます
君と私なら
踊り続けられる
リズムに合わせて
僕らは口ずさんだ
やがてこの時が終わることも
わかっていながら
永遠に回り続けていたいと
僕らは願っていた