【酸素】
足りない 足りない
必要不可欠な存在が
私には足らなかった
くらくらと 眩暈がする
私には 足りてない
私にとっての誰かが
私の酸素だった
今は 私の足枷
いつ満ち足りるんだろうか
【届かない】
私たちは
日々、誰かを想う
その想いを
伝えたり
伝えなかったり
人それぞれだ
届かない
その想いは
無駄なのではないかと思ったけれど
今の私なら
きっと、無駄ではないと言える
私たちが抱く想いは
それぞれ
届かなくても
その想いに 価値があるから
だから
届かない想いでも
悔やまなくていい
その想いを
味わい尽くせば
それで十分だ
その想いを
無下にしないで
どうか 誇っていて
今は報われなくとも
いつかその想いが
自分や誰かを
救う日が来るから
【青い、青い】
青くて酸っぱい 果実みたい
大人になった自分は
小さな頃に思い描いた
大人ほど
大人ではなかった
今も 怒ったり
泣いたりもする
時には傷付けたり
傷付けられたり
まだまだ青い、青い
だがそれは
時に 尊くもある
発展途上の僕らだから
見える景色もある
完璧にならなくとも
青いからこそ美しくもあり
他にはない価値がある
どうか信じてみて
青い僕らは
学舎という
この世界を漂い続ける
『青い、青い』
いいじゃないか
とことん
この世界を味わい尽くそう
【sweet memories】
僕らは ただ
ずっと
眠りについていたかった
布団の擦れる音
窓から覗く
夕暮れに浮かんだ飛行機
二つの揺れる呼吸
学校のチャイム
保健室のカーテンは
この世界から隔離するようだ
何もないことが
素晴らしかった
君は僕のようで
僕は君のようだった
ただ、隣にいるだけで
それでいい
足早と下校する
同級生の声は
僕らを急かす
真っさらに
包まれていたい
どんな色にも
染まりたくない
僕らが抱く小さな反発は
二人の秘密のようだ
真っ白に
溶けていたい
ただ、なにも
変わりたくなかった
隣同士
手を握っているだけで
それでいいというのに
カーテンの外側は
目まぐるしい
いつか忘れてしまっても
今日という
無垢で静寂なときは
僕らの胸に
咲き続けるのだろうか
染まってしまう前に
僕らだけの鮮やかな花を
探しに行こう
不確かな世界を
ぼくら二人で
そっと抜け出そう
夕暮れは
歩く僕らを
包み込んでいた
【巡り逢い】
眠らない夜に
思い耽っていた
あのことも
あの日のことも
全部全部
争って傷つけあった
罪悪感や悲しみにも
ゴールが必要
忘れてしまうのもいい
その時の精一杯を
褒め称えてもいい
どうか
君は君のまま
今を悔やまないで
今を過去に生きないで
今の新たな君に
きっと
巡り逢うだろう
今日に『おやすみ』を
カーテンを開けて
明日を待つ 君へ