なんとなく目についた、朗読劇の配信。国語の教科書で取り上げられるような古典を現代語訳し、それを、私でも知っているような有名で実力もある声優二人によって読み上げたものだという。自宅まで帰る道中の電車の中で暇だったし、合わなかったら聴くのを止めればいい。そんな軽い気持ちで再生した。
するとどうだ。どんどん引き込まれる。語り方やそのテンポの良さ故に、今まで漠然としか知らなかった物語が生き生きと身体中を駆け巡る。高鳴る胸の鼓動。世の中には、こんな面白いものがまだあったのだ。
いつもよく使っているのとは違う呟き場所を覗いてみたら、本当になんでもない話題で溢れていて。明日から使える有益な情報なんてものは基本的にないけど、真新しい世界の見知らぬ他人達によって思い思いに綴られた言葉を眺めていたら、急にここのことを思い出して久しぶりに何かを書きたくなった。
ここ最近は皆既月食という天体ショーがあって、それはもちろん趣深かったのだが、初めて月食を見た時のことも忘れられない。部分月食、それもふちがちょっと欠ける程度のものでしかなかったとしても。
当時はいわゆる受験生で、それを加味しても寝ているべき時間ではあったが、新聞に小さく取り上げられていた月食の記事を読んでしまったために気付けば真夜中にベランダから空を見上げていたのだった。皆が寝静まった時間に、ただただ月を見つめているのは悪くない気分だった。
ところでこの時、月見のお供にイヤホンを通して音楽を聴いていた。そのうちの一曲は、澄みきった心地よい冷たさのようなものがあるメロディーに月の綺麗な夜が本当によく似合っていた。今でもその曲を聴いていると月夜が目に浮かんでくるのだ。
『情に絆される』っていうフレーズにあまり悪い印象はないんだけど、ふと『絆される』で意味を調べてみたら一番最初に"束縛される"と出てくるのでぎょっとしたことがある。
たまには、書く時間を変えてみる。変に決まりを作ると守れなかった時に、なんかもういいや、となってしまうから、肩の力を抜いて気楽に生きていこうね。