江戸時代。
ある名門一家に双子が生まれた。
この村のしきたりで双子を産んだらどちらか片方は殺し、片方は跡継ぎとして育てる。もし従わないのであれば村に災いが起きてしまうというものである。
当主は片割れを殺すために刀を取り出し自分の子供を近くに座らせ刀を抜く。だが一向に切る気配がない。
息子は自分が殺されるとも知らず笑顔で笑っている。
当主は刀を投げ捨て片割れを抱きしめる。
こいつを、、雨を、離の家に幽閉しろ。村のやつには片方の雫を当主の跡継ぎとして育てると伝えよ!。
数年後
雨様、夕食をお持ちしました。
いつもの使用人が地下へやってくる。
あぁありがとう。なぁ信人今日外で何があった?
夕食を受け取りながら興味津々の目をこちらに向ける。
今日は村で祭り騒ぎです。もうみんな踊り狂ってますよ笑笑
笑いながら雨に語りかける。雨は少し羨ましそうに、
いいなぁ僕も行ってみたい。。
雨様、、、
嫌な沈黙が地下を包む。
食事を終えたらまた来ます。失礼します。
雨はご飯を食べしばらく天井の窓を見つめていた。
外とはどんなものなのか、一体何があるのか。
これを想像するのが雨の日課だ。
1回だけでいいから外に行ってみたい。
雨はボソッと呟くのだった。
雫!何故お前にはこれが出来んのだ!
当主と向き合い剣を交える雫。
雫は学問は優秀だけ運動神経が無く転けて転けて泥だらけだ。
僕もやる時はやります!!
真剣に向き直り雫は刀に力を込める。
当主は少し戸惑いながらも向き直る。
雫と当主の決闘は20分程度続いた。どちらも譲らずに
攻めまくる。勝ったのは当主だが、かなりの僅差だ。
雫、強くなったな。
当主は雫に手を伸ばす。
いえ、まだやれます。父上を超えるため私はもっと修行に励みます。
雫は当主に礼をしてその場を後にした。
夜
雫はいつもの練習場所で刀を振っていた。
毎日豆ができるほど何度も何度も、自分が納得いくまで、その姿は雨にも見えていた。雨は雫が自分の弟ということを知らない。逆に雫は雨がお兄ちゃんだと知らない。雨は雫に話しかけた。
毎晩楽しいですか?そんなに刀を振って
雫は一瞬ギョッとしたが近くにある離れの家に声の主がいることに気が付き近づく。
いや全く。自分の力なしに泣きそうになります。
でもいいじゃないですか、私は外にも出られないんです
え?そうなんですか!?それはまたなぜ?
2人はまるで前にあった事があるかのように話し出した。
お互いの苦労を唯一分かってくれる人同士として、
いつしか友人の域まで達していた。
数年後
当主が病気に侵されなくなった。
雨と雫が19歳の時だ。
雫は次の当主として村の決まりや仕事に活躍し
雨は地下で信人がこっそり買ってくる本を読んでいた。
この平凡な暮らしにもいつしか危機がやってくるとも知らずに、、、
ある日村に怪物とも思える獣が村を襲った。
何十人もの叫び声。
血にまみれた家
そして母を呼ぶ子供の悲鳴
子を呼ぶ母や父の声
獣を倒すために向かった狩人の無惨な遺体、
それをかき消すような獣の声。
村は一気に狂気とかした。
獣は何かを探すように村を駆け回る。
そして当主 雫が剣を取り出し村人の前に出る、
この村は私。八神雫が当主である!
獣よ!罪のない者を殺した罪。今ここで成敗する!!
雫は刀を抜きかけ出す。
獣は大きく手を雫に向かって振りかざす。
雫はスっとよけその避けた反動で獣の首を切る、、
ザシュ!!
嫌な音と共に血が飛び散る。
獣はその場に崩れ落ちる。
村人の感性があたりにこだまする。
そしてこの事件をきっかけに雫は村で英雄扱いを受けた
だが、1つの疑問でそれを打ち消された。
何故獣が襲ってきたのか、普段何もないこの村に急に、
そして村人はある仮説にたどり着く。
この村に双子がいる。片割れを殺してない双子がいると
雫ははっと勘づいた。
雨だ。雨は、私と素顔が似ている。それに村人に一度も会わせたことがない。父はもしかして雨を殺せなかったのか、、だから地下に閉じ込めたのか、、
雫の不安が心をざわつかせる。
その日から村の人々は犯人探しをしだした。
雨はそんな事は知らずにいつもの信人と会話を楽しんでいる。ちなみに信人は雫と雨が双子の事を知っている。
そういえば近頃あの少年を目にしんな、、
少年?、信人が聞き返す。
雫と申した者だ。信人の次によく話していた人物だ。
信人は驚いたような顔をして目を逸らす。
信人、、?どうかしたのか?
いや、、特に、、何でもございません。
何かあるなら申せ!気になるぞ?
いやしかし、、信人は考え込む
隠し事などするな!私とお前の仲だろ??
信人はこれ以上は逃げられないと踏み真実を話した。
雫と雨は双子ということも雨がなぜ幽閉されているのかも、、
雨は真剣に聞き、少しびっくりする。
だが、
そうか、なら、、しきたりを守らないと行けないのかもな。。。悲しそうに言う
何故そう思われるのですか、、?
少し見てたのだ。獣が村人を殺していた姿をな、、
しかし雨様が原因とは私は思いません!!
ありがとう信人。だがこれ以上犠牲者を出したくないのも事実だ。雫には悪いが私は生きていたくない。
この事実は雫に伝えないでくれ。雫には生きててほしいからな。
雨は悲しそうな顔を見せる。
同時刻 城外にて
当主様!もしかしてあなたが双子じゃないんですか?
村人が大きな声で叫ぶ。
雫は部屋の中でその事を考える。すると、信人がやってくる。
雫様少しお話が、、
なんだ?信人また随分真っ青じゃないか。。
実は。雨様には言うなと言われていたのですが、、
信人は雨と話した事をそのまま話す。
やはりそうだったか、、
ですが、 問題なのは雨様は、死ぬつもりでいます。、、
何?何故兄が死なないといけないのだ。死ぬなら私に、
オラー!!!
扉が壊された音が響く。村人がそれぞれの武器を手にして城内に入る。
雫様ー!隠れでも無駄ですよ!?やっぱりあなたは双子なんでしょー!あなたがあんだけ黙っていたから、罪のない人達が死んだんだぞ!!!それに片割れはまだ生きている。2人を捕まえろ!!!
村人が叫びまくる。
雫は来たもの来たものを切るのではなく、峰打ちで対応する。信人も雫を守りつつ、城外へ誘導する。
ある1人の村人が叫び出す。
1人居たぞ!!捕まえろー!!!
方向的に兄様か、、雫は少し考える。その隙に村人は雫に切りかかる。
ザシュ!、
ギリギリで避けたが腕が血飛沫をあげる。
切られたのはなんと利き腕で雫はもう片方に刀を持ち直し何とか応対をする。
だが利き手じゃないからなのか上手くいかず結局捕まってしまった。信人はどちらも助けるため雨の方に向かい走る。だか地下で待ち受けていたのは手足を拘束され身動きが取れない雨を殴り倒す村人の姿だった。
おうおう信人さんーとりあえずこいつがどうなってもいいならこっちに来いよ。
雨に刀を向ける。
信人は手も足も出ずそのまま捕まってしまった。
その夜
3人を地下牢に押しこめ村人は明日の処刑についての会議が行われていた。
お二人共、私は貴方達に仕えてよかった。
信人が急に語り出す。
私はどうしようもないやつでした。だがお二人のそばにいるととても楽しかったしもっと一緒に居たいと思えました。ですが今日でそれも終わりですね、、
信人が悲しそうに言う。
私はここに残ります。ここで貴方達が遠くに逃げるまで戦い続けます。なのでおふたりは力を合わせて抜け出してください。近くに村があります。そこならこの風習もないしきっと2人を迎え入れてくれます。
雫は泣きそうになりながら雨に目線をやる。
兄さん僕、僕、、、
雨は何も言わず雫を抱きしめ、信人に、
お疲れ様。お前は本当に優しいな。
泣きそうな声で言う。
俺はむら1の怪力です。この鍵なんてすぐ粉砕できます。
いいですか?2人で必ず生き延びて下さい。当主もきっとそれを望んでらっしゃる。
時間が無い。いいですか。行きますよ!!
ガチャーン!!
ものすごい音を立てながら鍵は壊れて牢が開く。
お二人共早く!!!
雫と雨は手を繋ぎ逃げ出す。鍵の開ける音のせいか村人がわらわらとやってくる。
この先は誰も通さねぇぞ!!!
あるひとりの男が村人を投げ飛ばす。
叫び声が後ろから聞こえるが双子は見向きもせず城外へ出た。
山を歩き頂上まで着く。夜を駆け続けたせいか2人ともヘトヘトだった。
頂上の岩に腰を下ろし2人で顔を見合わせる。
兄さん。私達似てますね?笑笑
雫が笑う。
雨は雫の方を向き。あぁそうだなと返事をする。
雫、僕は、、雨が言おうとした瞬間雫が口を抑える
兄さん。今思ってること僕も同じです。
もっと一緒に居たかった。だけど村のしきたりがある以上双子が存在して村人を苦しめ続けた。この事実には代わりありません。私は最期まで兄さんと一緒です。
雫は泣きながら笑顔で言う。
雨は、雫。僕もだ。絶対に1人にしない。お前は俺の弟だからな!!
双子は手を握り合いそっと目を閉じ、崖へ身を投げた。
後日
双子の死体が発見された。村人は大層後悔した。
あの1人の武士も投げ飛ばしても優しかった。
ちゃんと受身が取れるスピードで、そして誰1人怪我と言う怪我をする事なく、逆に武士は切り傷だらけで、だが誰1人この男が死ぬまで先を通ることは出来なかった。
自分たちがこの過ちを二度と起こさないようにする為
この村を廃村にした。もう二度とこの双子の悲しい運命に導かないように。
ただこの村には毎年必ず元村の住人がやってきて3つの墓を掃除しに来るそうです。そして夜この場所で空を見上げると時々双子が手を繋ぎ夜空を駆け回る姿を見守る武士の優しい面影が見えたりするそうです。
わたしは週一である方に手紙を出しています。
今日はその人と私についてのお話をしましょう。
彼の名前はラン。とある施設の実験体だった。
そして彼の担当研究員として私が派遣された
それが彼との出会いだった。
彼はまるで悪魔だった。真っ赤な目、鋭い歯、伸び切ったウルフヘアの彼は私を見つけるなり、襲ってこようとせずその場から逃げ出した。一目散に檻の奥に隠れる。
わたしは檻の扉を開け彼に近づく。
怖くないよ。怖くない。と安心させながら
だが、彼は、一向にその場を動こうとしない。
後数メートルと言うところで彼が立ち上がる。
そして私の方に向き直る。
伸び切った前髪から覗く赤い目は本当に恐ろしいものだ
だけどどこか彼は寂しい空気を纏っていた。
きっとひとりぼっちだったのだろう。。
私は彼の目を見て言う。
私の名前はマリアージュ。気軽にマリアでいいわ。
貴方を攻撃することも実験として扱うこともないわ!
だから怯えないで?ゆっくりでいいからこっちにきて?
彼はゆっくりゆっくりわたしに近づきぼそっと言う
僕の名前はラン。悪魔みたいだけど一応人間だ。
ランね!よろしく🤗早速だけどこれどうぞ。
わたしはポケットから一つチョコを差し出す。
これは?ランは不思議そうにチョコを見つめる。
食べてみて!甘くて美味しいわよ!
ランはポイっと口に放り込む。
うまい、、うまい!これ!なんで食べ物だ?
ランはとても美味しかったのかキラキラした目で聞く。
それはチョコっていうの。また持ってきてあげるわ。
そこからわたしは毎日毎日彼に会いに行った。彼は私が行くたびいい笑顔になっていき、楽しそうに話してくれる。自分の故郷や家族、友達の話だったり、わたしはいつしか彼が研究対象とも忘れて好きになっていった。
ただ現実はそうはいかなかった。
数日後ランに会いに檻に向かった時事件は起きた
彼は脱走したのだ。ある手紙を残して檻を破壊し、、
その手紙を読み私は号泣した。
マリアへ
僕は君と出会えて本当に幸せだった。
だけど実は僕は悪魔と人間のハーフで、ここで悪魔を抑えるために実験体としてここにいたんだ。
だけど、もう手遅れだ。僕の中で悪魔が叫んでいる
あの女を殺せ、あの女を殺せって、、
僕は君を殺したくない君みたいな大切な人を失いたくない。だから僕は旅に出ます。
マリアまたどこかで会えたらいいね。愛してるよ、、
親愛なる ランより
たった数ヶ月だけど彼はわたしにとってこんなに大きな存在だったのか、、その日は一日中泣いた。
泣いて泣いて泣き続けた。もう会えないかもしれない。
そう思ったら辛くて辛くて、、
数日間からのいない牢屋にずっといた。手紙を握り締めずっと何もせず、、そのとき思ったの。彼はわたしに手紙を書いてくれた。のにわたしは返してない。返事を書かなきゃって
そして彼に手紙を出す事にしたの。
この手紙はどこに行くかは分からない。だからこそいいのよ。いつかこの手紙の行方が彼に行けば、わたしはそれを願って週一必ず彼に手紙を出してるわ。
死んでるかもしれないし病気かもしれない、だけど私は彼にもう一度会ってちゃんと想いを伝えたい。
朝6時ふと目が覚める。
カーテンの隙間から当たる太陽の光は眩しく、目が痛くなる。ふと横を見るとまだ夢の中にいる彼氏がいる。
夜あんな遅くに寝るからよ、と心の中で呟く。
そっと彼の顔に手を置く。とても暖かった。
スースーと寝息をたて枕に抱きつく彼を見てると
わたしは不思議と笑顔になれる。
彼は私の手に気づいたのか少し笑っている。
その笑顔はとても輝いていた。とても綺麗で美しかった
この笑顔に何度も何度も救われた。
会社でミスしてしまい落ち込んでいた時、
前に付き合ってた人に暴力を振るわれ泣いていた時、
あなたはすぐにきてくれたそして抱きしめてくれた。
遅くなってごめんね。もう大丈夫だよといいながら
そっと頭を撫でながら優しい笑顔で私を見る。
わたしはあなたに何もしてあげられなかったのに、、
あなたはわたしに心も優しさもくれた。
考えてるうちに目から何かがこぼれ落ちる。ポタポタと
もう時間か、、、
わたしはベットから立ち彼の耳元でそっと言う。
おはよう。今日も頑張って。そういい私はこの場を後にした。
6時半アラームの音で目が覚める
今日はよく寝れたなー。
体を思いっきり伸ばしてベットを後にする。
しんと静まりかえったリビング
何も置いてない寂しいキッチン
本当に静かだ。
洗面台に行き顔を洗い、歯を磨く。
その間にパンを焼き、目玉焼きを作る。
歯を磨き終わり、朝ごはんを食べようと皿を出し盛る
はい出来た。独り言を言いながらテーブルに置く。
二人分盛り付けられた朝食を置き、彼女を待つ。
にしても今日は降りてくるのが遅い。まだ寝てるのか?
そっと立ち上がりある場所で止まる。
テレビ台にある彼女の写真と遺骨。
彼女の写真には黒のリボンが載っている。
俺はその場に膝から崩れ落ちる。
そうだ、、俺、一人になってしまったんだ。
同情なんていらない。
私がそう思うようになった、、高一の時
大丈夫あなたは頑張ってるよ、、
そう言ってくれたクラスメイトだったひとに
ただ同情が欲しいだけなんでしょ?と言われた。
辛かった。同情を求めて言ってるんじゃない。
不安だから怖いから、そう言って、、
もうどうでもいい。同情なんていらない。必要ない
私は私のままで生きる
枯葉という言葉を聞いてどんな物語を浮かべますか?
タイトル 枯葉が落ちたあの日
枯葉が落ちた。
私の目の前をすっと、、
その枯葉を拾って彼に見せに行く。
彼は私の持ってる物を見ると、また拾ったのー?いう。
彼は病気持ちで、余命あとわずかだ。私に心配かけまいとずっと笑顔で話す。それが少し辛かった。
基本、車椅子での移動で、行く場所も限られている。だけど、私はこの2人きりの時間がどの時間よりも楽しかった。大好きな彼と私。どんぐりを拾って、彼に見せる。
君は本当に、、と呆れている彼。私はその顔を見て大笑いをする。彼も最初は驚いてたけど負けじと大笑いをする。この時間が永遠に続けばいいのに。
ハッと目を覚ます。ベンチで寝ていたようだ。
私は慌てて病室へ行く途中で、、、彼がいた。
芝生の上で向かい合う形で、、彼がいる。
嘘だ、、歩けないのに、もう寝たきりのはずなのに、、
彼は笑顔で口パクをしている。
私はその言葉を理解した時、大泣きした。あぁ、彼は死んだんだと、だって、彼が言ってたんだ。
さようなら。愛してるって、、