友達と勉強していると、君が教室にやってきた。
バックをロッカーにしまっているところが横目に見えて、ふと君のほうを見ると、君は「よっ」って、手を空気中でポンっと振った。私もそれに、「よっ」っと、同じように返した。今までの親しみを全てこめたような挨拶に、少しだけ胸がドキッとした。
君が言っていた。
「俺が勉強する意味は、将来いい会社入るためだと思う。自分がキツくない程度にね」って。勉強に意欲的な君が輝いていて、心が熱くなった。
「もーこれわかんない、あいつに聞きたいけど、、」
「もしよかったら、俺のとこ、、いい?」言葉の意味に気づいたのか、一瞬止まって言い直したの知ってるんだかんな。
「昨日見せてくれたキャラの絵さ、俺帰りながら考えてたんだけど、楕円?っていうのかな。めっちゃ上手いなって思って。」「ありがとう」「絵上手い人ってさ、丸とか円とか書くの上手なんだって」「丸と円同じね」
君に褒められると必然的に頬が緩んで、照れてしまう。
ここの中にある幸せのベルの音が少し聞こえた気がした。
君に絵を見せることは、少し恥ずかしさを感じることがある。その絵は、決して上手いものではないけれど、君に見せるためなら、いつもやらないことをやってみたくなる。
君は、少しトーンの下がった声で言った。
「えーうまいのね」
いつもの君ではないと時間が経って思った。私たちの間には、灰色の渦が巻いているようで、うまく喋れなかった。私がそれが気になって、心の中に寂しさを抱えながら今日が終わった。
風邪を引いてるこの頃、
友達や先輩から、「言い方!」や「バカにしすぎ」と言われてしまった。君への態度が少し悪いことぐらいわかってる。ごめんね。許して。
君が大目に見てくれていることなんてわかってる。
次は、素直になるから。もっと、優しく接するから。
嫌わないで、
また、いつもの君で、私の皮肉れた心を優しく包んでほしいの。
ふと今思い出したことがある。
今にも雪が降りそうな日だった昨日、君は小学生の子に勉強を教えるとか言って帰ったこと。君の家の部屋にひっそり入ると、小4ぐらいの女の子と机に向かって勉強しているところだった。足が長い君が、女の子に合わせて椅子の座高を低くして目線を合わせて話していた。
私はまた、君の優しさに触れたような気がして嬉しかった。