鏡。
洗面所で、顔を洗ったら目の前にある。
一歩外にでて、車や道路のミラー。
建物のなかには、もっとある。
色んな場所に置いてある。
大きさも、形もそれぞれで。
シンプルなもの、カラフルなもの。
使い方だっていろいろ。
目的だって、いろいろ。
いろんな場所で、見ることができて。
いろんな場所で、見られてる。
見られてるって、思うこと。
見たくなくても、みえること。
見てほしいって、思えるか?
見られてもって、思えるか?
気にしない人も、気にする人も。
しすぎる人も、まったくしない人も。
みんなそれぞれ。悩みもそれぞれ。
せめて。
見ることを、やめることがないように。
ときどき自分をみつめて見るさ。
(時々確認しないと、それはそれで不安になる)
いつまでも捨てられないもの。
クローゼットの奥。
ベッドの下。
本棚の隙間。
色んな場所に、ちょっとずつ。
あの頃の、写真。
いろんな人に貰った、手紙。
お気に入りの、洋服。
ちょっと変わり者の、文房具。
昔使ってた、手帳。
あのとき聴いてた、CD。
何ならはじめて書いた、履歴書まで。
大きなものから、
小さなものまで。
人から見たら、いらない物でも。
自分にとっては、大切なもの。
いつか手放すかもしれないけれど。
今は、そばにいてほしい。
どんどん増えてく、ものたちが
私の周りを埋め尽くす。
たくさんの思い出を、これからも。
(想いがあるから、捨てられない。)
誇らしさ。
朝。
眠い頭と体を無理やり起こしてボーっとする。
今日も、あっという間に朝が来た。
布団に逆戻りしたいが、そういうわけにもいかない。
出かける準備をしなければ。
とりあえず、
テーブルの上にあるリモコンで、テレビをつけた。
そこからは時間との勝負だ。
… とは言っても、ほぼ流れ作業で終わらせる。
毎日のことだから。時々、油断することもあるけれど。
すこしだけ早めに準備が終わって。
でも、朝ごはんを食べるほどの余裕はない。
ケトルを手にとって、お湯を沸かす。白湯でも飲もう。
健康とか、美容とかのためじゃなく。
胃腸が強くないから、朝は白湯くらいが丁度いい。
お茶ぐらいならいいかもしれないが、
ゆっくり味わえないのなら、茶葉がもったいない。
合間に聞こえるテレビの音。
今の流行りだとか、今日の天気だとか、
スポーツの結果や、話題の映画や音楽とか。
朝からとても賑やかだ…。
目に映るテレビの向こうは、みんな元気でにこやかで。
自信にあふれて、どこか誇らしげに話してる。
現実はわからないけど、そう見えるだけでも尊敬だ。
飲み終わったカップを片付けて。
さて、今日も1日乗り切ろう。
…占いの順位は、真ん中だった。
(得意げに話はしても、誇らしいと思えない我が身。)
夜の海。
真っ暗。何処までも真っ暗で、何も見えない。
車のライトだけが明るく照らしているが、
エンジンを止めてしまえば、一瞬で暗くなる。
ドアを開いて外に出れば。
むわっと生ぬるい湿った空気に、海の匂い。
防波堤を踏む感触は、昼間の暑さを伝えてくる。
ざざぁっと打ち寄せる波の音。
引いて押してを繰り返す。
見えないけれど、確かに音で伝わるのだ。
目の前に、海がひろがっていること。
別に、夜の海に来たかったわけじゃない。
海を楽しむなら、青く、水平線が続く海を見たい。
そのほうが、色んな色を楽しめる。
遠く近くの海の色、打ち寄せる波と泡。
砂と岩に、コンクリート。沢山の生き物たち。
また、明るい時間に来てみようか。
昼間の日差しは、痛そうだけれど。
遠くの方。海岸沿いの空の上。
ピカッと、何か光って消えて、
どぉんと、遅れて音が響く。
あぁ、始まった。今日は、隣町の夏祭り。
ちょっと大きな花火があがる。有名では無いけれど。
海の近くであげるから、海に来たら見えるんだ。
波の音を聴きながら。
小さく見える、花火を見つめて。
いつもと違う、夏の夜。
自転車に乗って。
小さい頃。
自転車に乗るのは、ステータスの1つだったと思う。
乗れるか、乗れないかで、友だちとの遊び方も変わった。
何せ行動範囲も変われば、移動にかかる時間も変わる。
遊ぶために全力をかけているのだから。
…子どもの世界も、なかなかシビアなのだ。
幼い頃は、ただ乗りたくて頑張った。
買ってもらった自転車が嬉しくて、ワクワクしながら跨った。
補助輪を、ガラガラ鳴らして走り出す。
ドキドキしながら、ひとり立ち。
ちょこっと大人になった気分。
転んだってへっちゃらで。
前に、先に進んでく。
お風呂につかった傷跡が。
痛くてすこし涙する。
頑張って乗れるようになったのに。
遊ぶためじゃなくなった。
跨ることも、なくなった。
久し振りに乗った自転車は、なんとも頼りなく走り出す。
サドルに乗ったお尻さえ、座り心地が落ち着かない。
体に力が入るから、ブレーキばっかり掛けちゃって。
自分で自分に、苦笑い。
あぁ、あんなにうまく乗れたのに。
知らぬ間に、忘れてしまった乗り方を。
どのくらいで思い出す?
… ケガしないように、気をつけよ。