『懐かしく思うこと』
ひと昔前のものが一周まわって今また流行っている
という話題を聞くことがある。
そのひと昔前のものについての思い出を話す人たち。
何十年後にでも思い出せるくらい印象的だったもの
愛着が、思い出が沢山あったものなのだろう。
悲しい思い出の方が多いものについて
人々は人と語ろうとはしないものだから。
僕にもそういうものができるのだろうか。
いや、もしかしたら自分で気づいていないだけで
もう持っているのかもしれない。
自分の人生の一部を表現できるものを持てるのは
僕の人生に幸せがあったことの証なのだから。
『もう一つの物語』
あたたかい日差しが入るリビングで
ゆっくりと時間が過ぎていくのを感じてるある日。
こんなに気持ちのいい日は物思いに耽るに限る。
夜に物思いに耽ると悪い事を考えてしまうと言うが
こういう時間は逆の事を自然と考えられる。
ゆっくり何もしない時間は贅沢だと思うが
何かほかにしていたら運命が変わるのだろうか。
この小さな出来事の違いで、今後の世界線が変わり
僕であるが僕でない誰かの人生になるのだろうか。
確か、こういうのを「バタフライエフェクト」と言うらしい。
なんだか、蝶の鱗粉が舞うように色んな未来があるって
幻想的で、なんて可能性に満ち溢れているんだろうか。
今行動をすると違う僕になれるのかもしれないが
僕はこの時間をゆっくりと過ごしている僕が好きだ。
『友達』
ねぇ聞いてよ。
そう言って僕は昨日観たゲームの配信の話をし始めた。
昨日は有給を使って9時間格闘ゲームの試合を観ていたのだ。
推しが試合に出ていて、優勝は出来なかったものの、
2位で本当に最高のチームだった。
興奮冷めやらず、勢いのまま話した。
ひとしきり話し終わったところで
めっちゃ面白かったんやね。
そう言われて、一方的に話してしまった事に申し訳なさを感じた。
謝ると
楽しそうなのがこっちにも伝わってちょっと興味わいた。
と言ってくれる所が本当に良いって思った。
その後も色々話して最後に
まぁ、知らへん話をめっちゃしてくんのは偶にしてや
って言われて、そんな事を言える間柄なのが良い。
気の置けない関係だとお互い思ってると良いな。
『行かないで』
おはよう。
涙を流しながら僕は起きた。
今なぜこんなに悲しい気持ちになっているのか分からない。
きっと別れがあったんだろう。
それだけは分かる。
こんなにも胸が締め付けられるのは
それだけあなたが僕にとって大切な存在だったから。
そんな存在が居た僕は本当に幸せ者だ。
手の甲に涙が落ちた時、現実に引き戻された。
これは夢だったのだと。
複雑な気持ちを抱えたまま、ベッドから出る。
夢の中の君へ、あなたの幸せを祈ります。
『どこまでも続く青い空』
おはよう。
ふと見上げるとそこには普段と変わらない空があった。
変わらないはずなのに
今日の僕には、いつもより広く、なんだか眩しく感じた。
その理由はおそらく
何一つ隠すことなく全てをさらけ出している空に
僕は「臆病で矮小な存在だ」と言われている様に感じたからだろう。
しかし、僕はそこで気づいた事があった。
空とて曇の日もあれば、雨の日も雷の日もある。
毎日同じ空では無いのだと。
そう思うと、僕と同じで日々隠したい事がある日や
苛立ちが募る日がある様に感じ、親近感が湧いてきた。
なんて自分勝手なんだろうか。
少し見方が違うだけでこんなにも見え方が違う。
そんなことに思いを馳せながら、僕は今日も仕事へゆく。