そろそろ雨が降りそう..という時に、
夕日を海まで見に行った。
太陽が沈んで少しした頃。
パラパラ..と、外からなにかの音がした。
雨かなーと思ってすぐに窓は占めなかった。
そのあとすぐ、バラバラバラと大きな音を立てて降ってきたのは雹みたいな雨。
周りのサーファーさん達みんな、
困惑しながらも淡々と片付けを進めてゆく。
自分も、すぐに窓を閉めて、家へと急いだ。
家のベランダには、洗濯物がかけてあったはず。
せっかく乾いたのに濡れてしまって、
また洗うことになってしまうかもしれない。
それだけは避けたい。(手間もかかるし)
家への帰り道。
大きな交差点を右に曲がる頃、
バラバラと大きな音を立てて降っていた雨がパラパラと音を小さくし始め、
そしてすぐに雨が降る音は消えた。
あれは通り雨だったのか..と安堵しつつも、
洗濯物が濡れたかもしれない..と憂鬱にもなる。
濡れていて欲しくない。
濡れているならば遅くなってもどっちみち...と、道草を食ったりしながらゆっくり帰ってきたんだけど、今日は洗濯物をベランダに干さず、リビングに干していた。
良かったのか..悪かったのか..、。
通り雨の気づき方、
誰か知ってる人はいないのか..。
(実話です)
114テーマ【通り雨】
帰り道。
いつも声が聞こえる。
「ヵナたくん…」
「ル亻くん…」
男の子の名前を呼んでいるんだろう。
この声は女の子の声だ。
小学校低学年ほどの幼い声。
田んぼ道を通っている時、必ず聞こえる。
朝もここを通るんだけど、いつも聞こえない。
この女の子が居なくなった(んだろう)のは夕方なんだろうな。
「ュ宀せ亻くん…」
「はルヵちゃん…」
あれ?今日は二人増えてる…。
なんでだ?五人で遊んでたのか?
そろそろ、親に相談した方がいいか…。
「ヵ亻トくん…」
「ひっ、、」
申し遅れました、僕の名前は夏糸です。
『夏』に『糸』と書いてカイト。
姉ちゃんは紬で、父さんは絃。
母さんは…覚えていない。
「厶シしナ亻デ…ヵ亻トくん…」
「…無視してないよ、考え事してたの。」
「君の名前は?なんて言うの?
なんで僕の名前知ってる?」
後ろにその女の子がいた。
その女の子はどこも怪我しているようではなかった。
だからなのか、余計奇妙に感じた。
「ハしくラ…ナォ…」
「ナオちゃん?」
「そ宀…」
「ユウセイくんの苗字は?分かるかな?」
「ナ亻ト宀…」
「ナイトウユウセイくんだね、おっけぃ。」
「ハルカちゃんは?どうかな?」
「ハナサヵ…」
「ハナサカハルカちゃんね…」
「カナタくんは?
いつも名前呼んでるよね?」
「ハナサヵ…」
「兄弟かな?ハルカちゃんと。」
「ソ宀…」
「おーけぃ、」
「次。最後ね。ル亻くんの苗字は?」
「ャよ亻…」
「ヤヨイルイくんね…ありがとう。」
全員の名前を聞いたあと、僕は考えた。
この子の親御さんを探すべきか、家に連れて帰るか。
幽霊はその場から離れられないとは言うけど、この子は多分、迷子になってここに来た。
この子は、自分が死んだことを自覚していないと思う。
ならば、探すべきだ。
この子がいなくなった場所を。
そして、親御さんを探そう。
113テーマ【声が聞こえる】
秋恋。
春恋も夏恋もあるなら、
秋恋もあると思う。
春夏秋冬恋の季節だから。
秋は二学期の始まり。
新しい出会いも待っていると考えてる。
そして今日は中間テストの2週間前。
部活動がテストによって中止になったり、
課題が増えたり、体育祭間近だったり、
とにかく忙しい9月下旬。
窓の外にはキンモクセイの木が見える。
登校時にはキンモクセイの匂いを嗅ぎながら校門をくぐる。
もうすっかり秋の匂いだ。
まぁでも、暑さは8月下旬とあまり変わらないけどね。
「四宮ー」
「あっ、はい!」
「これ持ってきて」
「あっ……はぁい、」
はぁ…授業は全く分かんないし、
このままじゃ中間もまた補習だなぁ。
「四宮今日居残りな。」
「はぁ??」
「どうした?
それ分かってて寝てたんだろ?」
「いやいや、テスト期間ですよ!?」
「それは関係ない。
部活休めるからいいんじゃないのか?」
「ま、まぁ…それは…」
「じゃあ待ってるぞ。3階のBRで。」
もう居残りはいやだなぁ…
というか、前見えないんですけど。
どれだけ積み上げたんだよ、
あのてぃーちゃーは…ったくもう、
ドンッ
「んわぁっ!」
バササバサッ
「あ~……番号順だったのにぃ…
番号順なんて覚えてないってばぁ~」
「四宮さん?」
「え?あーはい、」
「やっぱり!
今日は俺も居残りだから!よろしくね!」
「えっ?」
そう言って紙を集めるのを
手伝ってくれた彼は、
同じクラスの一番前の席・先生の
目の前の席に座る、香林(カオリバヤシ)くん。
全ての紙を番号順に重ねてくれて、
渡された時、手元から金木犀の匂いがした。
「えっ、」
「ん?」
「キンモクセイの匂いがしたから…」
「姉ちゃんに貰ったんだよね。
キンモクセイのハンドクリーム。」
「キンモクセイは匂いが好きだからさ、
先生にバレない程度に塗ってるの。」
「へぇ~…、」
「でも今日バレちゃってさ。
居残りだって。なんでこれだけで…」
「…お花嫌いだからねあの先生。」
"じゃあね"と言い残して廊下を歩いていった。
キンモクセイのハンドクリームを塗っている、あなたの手元に惚れたようです。
でも、その手元は他の女性のもので、
私の秋恋は終恋に変わった。
112テーマ【秋恋】
君のことを大事したい。
だから僕は君を食べるのを我慢しているんだ。
え?我慢はしなくていいの?
それなら…今日は、君の初めてを頂こうとするか。
ちゃぷんッ
「ふぅ~…」
「あったか~…」
君とのお風呂を堪能出来るとは…
我慢したかいがあったかもしれない…
え?そっちの意味じゃないって?
じゃあどういう意味?
え、なんで照れるの?
嬉しいな、そう思ってくれてるのは。
お風呂上がったらしようか。
それで大丈夫?OK。先上がって待ってます。
111テーマ【大事にしたい】
時間よ、止まれ。
この空に舞う、光の瞬きのように儚い君と、ずっと一緒に居たいから。
時間よ、止まれ。
天使のようなかわいいかわいい娘と一緒に居たいから。
時間よ、止まれ。
学生時代の思い出を、ちゃんと作りたい。
大人になって思い出すのは、学生時代の思い出ばかりだから。
110テーマ【時間よ止まれ】