『終わりなき旅をしよう!』
にこやかにそう宣言し、彼女は旅立っていった。
本当にあちこちを旅しているようで、
旅先から近況を報告してくれたり、
たまに帰ってきてはお土産をくれたり。
そんな彼女が眩しくて、少しだけ羨ましくて。
今度の旅は一緒に連れていってくれる?と、
思わず尋ねてしまった。
彼女は満面の笑みでこれを快諾。
いたずらっぽく笑って、
『これは二人だけの秘密だよ』と、
きっと彼女しか知らないであろう、
彼女のお気に入りの場所へ連れていってくれた。
一緒に旅をしたこと、
彼女と秘密を共有したこと。
それが嬉しくてたまらなかった。
そうして、彼女は僕に尋ねる。
あの日と同じ、にこやかな顔で、
『君も一緒に、終わりなき旅に出るかい?』
僕も彼女に笑顔を返す。
そうして、迷いなく彼女の手を取った。
「ごめんね」
そう言い残して、貴方は消えた。
言いたいことだけ言って、
私が口を挟む余地もなく。
貴方は私の前からいなくなってしまった。
私がそれで諦めると思ったの?
どれだけ謝られても、
会えなくなってしまっても。
貴方に直接文句を言うまで、
絶対に許してあげないんだから。
月に願いを、
どうか君に、祝福を。
理不尽な運命なんて覆して、
その手に未来を掴むために。
きっと君なら、
奇跡を起こすことだってできるから。
宵闇の空を明るく照らす、
月に願掛け、願いよ届け。
逃れられない運命を嘆いて、
一生後悔し続けるくらいなら。
私は最後までその運命に抗いたい。
だって、私はずっと、
あなたの隣にいたいもの。
それが叶うというのなら、
どんな運命だって変えてみせるわ。
『また明日』
そう言って君は笑っていたのに。
待てども待てども、
そんな明日はやって来なくて。
君はもうこの町にいないのだと、
後から風の噂で聞いた。
僕はそんなこと、一言だって聞いていなかった。
話したかったこと、やりたかったこと、
まだまだたくさんあったけれど、
どれもできそうにないことが、
悲しくて、悔しくて。
悔しいから、
君に会いに行くと決めたんだ。
『また明日』を、なかったことにしたくないから。
そうして君にまた会えたら、
今度は本当の気持ちを聞かせて?