乱正堂

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5/24/2025, 10:08:54 AM

薄暗くて、しかし温かい
そんな中に二人で沈む

ピアノを持ち出して
踊ってよ、と軽く鍵盤を洒落たように引くと

彼女は嬉しそうに
椅子を立って、彼女持ち前の眼鏡を外した
そして私に眼鏡をかける

視力に差異はないので支障はない
普段から見たくない現実を見ないように
フィルターをかけているだけ

眼鏡をかけて曲を弾いて
彼女が楽しそうに歌って踊る今
この瞬間はフィルターをかける必要もなく
ただゆっくりとこのぬるま湯に浸かりたい

ああ、彼女はいつぞやのパリジェンヌのよう
ヒールを履きながらも華麗に踊る
桜が散るようだ そして川に落ちて流れてゆく
ずうっと眺めていたい

5/23/2025, 10:06:45 AM

俺はあの男が憎いのだ!
さぞ寒かろうと
私にマフラーを渡す男が

要らないと申してもいやいや、寒かろやと
首元に巻かれる
ましてや、腹にカイロも突っ込まれる

明日こそあいつを押しのけてやろうか
同じ年のクセして
大人ぶって、俺を可愛がろうとしやがって
その学生帽そいでやろうか
タッパも俺に近づくだろう

そのいたいけな顔やまつ毛や眉の形も愛しや
と、触るその手を剥いてやろう

ああ、無性に腹が立つ!構わないでくれ!

5/22/2025, 10:51:08 AM

眠る
覚める

身体は寸分たがわぬ筈だが
どこだか変わってるように感じる自分がいる

窓を開けて朝の冷たい風を顔に浴びる
醒める

何処やらで読んだ本によると
私の体の細胞は一日ごとにまるっきり変わる
つまり別人なのだが、
脳の中での記憶が受け継がれている
故、意識は繋がったように見えるとのこと。

なんだか私が私ではないようだが
受け入れる他あるまい。

2/11/2025, 12:34:47 PM

もう手に入らないだろう
そう思っていたあの感情が
再び手に入る時
天使がもとってきた時

舞台上に姿を見せた君は
私が見せたのとは異なる
でもそれでいて美しい舞で
その舞台上に舞い戻ってきた

あせまでも美しく
天からの贈り物
美麗なるその顔
類稀なるその技術

でも君はそれを欲しない
そういうやつだな君は

おかえりと言いたい

でも君は聞かないだろう
私の言葉を

2/10/2025, 10:15:39 PM

星を巡る

頂きに辿り着くまで分からない感情
感動、激動、喪失感?
幾度とない夜明け

あまりに大きい星は身に余る
小さすぎると足りない

頂きの先にある楽園を目指してはしごをかける
自分だけの星

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