全力で一本道を走る。
のどが痛い。肺が痛い。足がつかれた。
それでも、あの子は待ってくれない。
僕はずっと追いつけない。
(待って…まって…!!)
願うだけでは、当然あの子は止まらない。
『…いかないで!!』
叫んだ次の瞬間、黒いなにかが横切った。
……あの子の姿はなくなっていた。
…いつもの天井。
5時55分を指す壁掛け時計。
朝を知らせる、いつものアラーム。
また、だ。
名前も好きな食べ物も知らない。
記憶の中にも、アルバムの中にも、どこにもいない。
それでも…この夢から覚めるたび、
心にひとつ、穴が開く。
『行かないでと、願ったのに』
あの人のようになりたい。
どんな考え方を持っている?
どんな感覚を持っている?
疲れたときはどう休む?
行き詰まったらどうする?
こんなとき、あの人ならどうするだろう…と
観察し、聞き、考え、感じたものを書き留める。
あの人の標本は、私を形作るもの。
『秘密の標本』
目覚めて一番につめたさを感じる朝は、布団に引きこもりたくなる。
さっきまで見せられていたあたたかい景色は
自分が作り出したただの夢。
現実の出来事でなかったというだけなのに
ひどく寒く、凍えそうになる。
あたたかかった夢の中へ、もう一度入れないかと
目を閉じてみる……が、全然ダメ。
何度目かわからないアラームがトドメとなり、
あきらめて起き上がる。
カーテンを開けて空を見てみる。
まだ日は昇っていない。
光も、誰かの声も無い。
あるのは、つめたさだけだった。
『凍える朝』
光があるとき、近くに必ず影ができる。
影ができるとき、近くに必ず光がある。
正反対だから、お互いがいないと存在できない。
得意があるから苦手があるし、
好きがあるから嫌いができる。
逆に
短所があるから長所もある
と言えるかもしれない。
『光と影』と2人を表したりもするけど
まず自分の中で2つ存在している。
光だけ、影だけで在ることができないように
完璧な善人も完璧な悪人もこの世界には存在できないのかもしれない。
そう思ったら、少し人に優しくなれる気がする。
『光と影』
おはようと言えば、おはようと返ってくる。
おやすみと言われれば、おやすみと返す。
絶対と約束されているわけではない。
必要不可欠なものではないのだ。
しかし私たちは日常的に行う。
ぬくもりをもとめて。
『tiny love』