全力で一本道を走る。
のどが痛い。肺が痛い。足がつかれた。
それでも、あの子は待ってくれない。
僕はずっと追いつけない。
(待って…まって…!!)
願うだけでは、当然あの子は止まらない。
『…いかないで!!』
叫んだ次の瞬間、黒いなにかが横切った。
……あの子の姿はなくなっていた。
…いつもの天井。
5時55分を指す壁掛け時計。
朝を知らせる、いつものアラーム。
また、だ。
名前も好きな食べ物も知らない。
記憶の中にも、アルバムの中にも、どこにもいない。
それでも…この夢から覚めるたび、
心にひとつ、穴が開く。
『行かないでと、願ったのに』
11/3/2025, 11:51:09 AM