備忘録

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2/13/2024, 9:52:01 PM

「待ってて」
その言葉を聞くとあの日の出来事が思い出されます。
この言葉はまさに母が私に言ったものでした。

幼少期、買い物をしていた母が急に買い忘れに気づいて買い物カートと共に私をその場にいるようにと言ったのです。たった数分、私は怖かったです。普段見ている景色なのに母が居ないというだけで異世界に飛ばされた感じでした。周りの大人が声をかけてくれました。だけど、優しい仮面をつけた怪獣にしか見えませんでした。店内BGMが地獄を想像させる鬼の笑い声に聞こえました。周りを見れば見るほど今まで見えてこなかった「未知」が湧き出してきました。

それ以来、私の日常には「未知」が居座るようになりました。簡単に言うと全てに疑問を持ち始めたのです。やかんが沸くと音を立てて、鳥は当たり前のように飛んでいて、それを母は気にせずに洗濯物を取り込んでいて、その洗濯物は乾いていて、他にも枚挙に暇がないほど「未知」は溢れかえりました。

十数年経ち、私は高校生になりました。やかんが沸くことも鳥が空を飛ぶことも他にもなんにも疑問に思わなくなりました。だけど私の中には「あの日の私」が今でもいます。なにかある度にこの子が泣いて、叫んでいます。たぶん全ての疑問は「未知」はこの子が受け止めてくれているのです。これは私だけじゃなくみんなそうなんだと思います。電車で居眠りするサラリーマンも2人並んで登校するカップルも教室で授業をする先生も同級生を指さしてヒソヒソ笑うあの子たちもテレビに映る芸能人も眉間に皺を寄せるお偉いさんたちも。みんなみんな自分の中に「迷子の小さな自分」がいるんだと思います。人間は成長すると体が大きくなって顔つきが大人になって。だけど、心がそれに追いつかなくて必死に追いつこうにも差は縮まらなくて。だから大人な自分を作ってそれが自分だって思い込んで生きているんです。みんな本当はこの世界のあらゆる「未知」に怯えているんです。みんな同じようで違って、違うようで同じなんだと思います。

私は「あの日の私」に謝らないといけません。
私の生活は今までもこれからも「未知」が沢山あってこの子に息つく暇を与えないからです。
「ごめんね」と だけど「大丈夫」
「私はあなたを救う存在になるから」
いつなれるのかもそもそもなれるのかもわかんないけど「未知」に会ってあなたが泣いても私がその涙を無駄にはしないからそのために生きるから

だから うんと長くなるかもしれないけど

「待ってて」

2/12/2024, 1:08:11 PM

封筒を握りしめて俺は走った
俺はあの日から毎日路地裏へ通っている
あの人に出会ったあの日から

幼少期の俺の居場所はこの路地裏だった
ゴミ箱の残飯を食べ ダンボールで寝るのが日常だった
あの日も野良猫と身を寄せて寝ていた
するとそこに現れたのだ あの人が
俺は恐怖に包まれた 誰もが怖がるだろう あの見た目は
俺は腰を抜かして何も出来なかった
するとあの人はポケットからボールを出して芸を見せた
お世辞にも上手いとはいえなかったがあの見た目で必死になっている姿に俺は笑ってしまった
能天気に上手くない芸を見せてくれる姿を見ると
馬鹿馬鹿しかったのだ 生まれた環境を恨んでいた自分が
そして俺が持っていた布団替わりのダンボールにペンで「what's your dream?」
と書いた

あの日以来あの人は姿を見せてくれない
俺は憧れた そして努力した あの人になるために
そして俺は今日 あの人に近づけたのだ

伝えたい

「ありがとう」
誰にも見てもらえなかった俺を見てくれて 笑わせくれて 夢を持たせてくれて

「近づけたんだよあなたに 」
名前も 声も 性別も 何もかも知らないあなたに憧れて
がむしゃらに努力して

路地裏に着いたが案の定今日もあの人はいなかった
握りしめた封筒はくしゃくしゃで
額からは汗が流れていた
いつになったら会えるのだろうか
あの人は今どこで何をしているのだろうか

今日俺はあなたに近づけたんだ
興奮を抑えられない中頭の中でそう反芻しながら
くしゃくしゃになった封筒の中の書類を見る


〈ウェストサーカス団
       団員オーディション(ピエロ役)の結果〉
この度行いましたウェストサーカス団のオーディションにご参加頂き誠にありがとうございます。
厳選なる審査の結果、
○○様の採用が決定致しましたのでここに通知致します。
つきましては…


俺はあの日から毎日路地裏へ通っている
あなたに出会ったあの日から

俺はこれからも毎日路地裏へ通う
あなたにまた会うまで

あなたに感謝を伝えられるまで






2/11/2024, 9:17:57 AM

誰もがみんな 優しい人じゃない
誰もがみんな 酷い人じゃない
みんな いい所も わるい所も たくさんもってる

そう考えると

私の嫌いなあの子も 誰かにとっては優しい人なのかも
私の大好きなあの子は 誰かにとっては憎い人なのかも

そんな人を嫌いになっていいの?
そんな人を好きになっていいの?

そうやって ゴールのない考えばっかしてる私は
人を嫌いになれない