#あじさい
木々の間を、六月の雨が通り抜けた
のちに静かに落ちていき、大地の一部となる
人間たちはその地を踏み締めて歩んでいく
一つの傘に、二つの足跡
少し嬉しそうなアマガエルの鳴き声
ゆっくりと進むカタツムリたち
時折、足を止めて私に目を向けてくれる人もいた
普段よりも少し暗い
じめじめした空間
どれもこれも、何度も見てきた景色
桜の咲く暖かい季節
彼岸花の咲く涼しい季節
そういう景色も、本当は見てみたいと思ってる
でも、やっぱり私にはこの時期が合っているのかも
雨に打たれながら、こうやって笑ってることが
一番の幸せだから
#朝日の温もり
「朝だよ?起きて」
彼の優しい声が聞こえた
カーテンの隙間から注ぐ光に目を細める
「…まだ寝る」
そう言って布団に潜った
布団越しに頭が撫でられた感触があった
彼は今、どんな表情をしているのだろう?
しょうがないなぁと微笑んでいるかもしれないし、
ため息をついて呆れたような顔をしているかもしれない
『もう少しだけそばにいたい』
彼の顔をみると、その一言が言えなくなるから
だから私は布団に潜った
次の彼の言葉を伺った
だが、相変わらず彼は何も言わない
布団から顔を覗かせると
そこに彼はいなかった
周りを見回そうとした瞬間
背中に何か覆いかぶさった
「…じゃあ、二度寝しよっか」
耳元で甘い悪魔が囁いた
もしかしたら、私が一番言って欲しかった言葉なのかもしれない
目を閉じていてもわかる温かさがあった
でも、きっと朝日のせいだけじゃない
#正直
正直言って、喉が痛い。
砂漠みたいにカラカラ
雨が降っても一瞬でなくなる
咳をするだけで
頭がズキンズキンと痛む
頭に心臓があるみたいに
明日学校休みたい
だけど休んだら授業に遅れる
自分が苦労するだけ
私はどうすればいいんだろう
誰か決めてくれないかな
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#正直ということで、
風邪気味の今の気持ちを正直に書いてみました。
あなわびし。
気温差で体調を崩しやすいので、
皆様もお気をつけてください…
#梅雨
ビニール傘の下、優しい温もり
二人で歩いたいつもの道
この時間が続くように、空に願った
雨よ止むなと
鈍色の空の下、悲しい冷たさ
一人で歩く夜の道
この涙さえも消してしまえと、空に願った
雨よ止むなと
#無垢
君を真っ白なキャンバスとするならば
きっと僕は真っ黒な絵の具だろう
純白で美しい君は、けがれを知らない
まだ何色にも染まっていないのだから
だから君を僕の色に染めて
僕だけのものにしたい
一度黒を塗ってしまえば、
もう何色を塗ったって無意味なのだから
だから今日こそは_
必死で追いかける僕を見て、
君は少し向こうで笑っていた
君は天使だろう?
それじゃあまるで小悪魔じゃないか
悪魔の僕は、天使の君に恋をした。