彼岸花

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5/18/2024, 11:04:55 AM

#恋物語

“恋なんて、興味ないからさ”

先週までそう言ってたあいつが、
いつのまにか彼女をつくりやがった

あいつだけじゃない
今まで『独身仲間』だった奴らもほとんどいなくなった
そして残っているのが俺を含め、二人だけである

寂しくなったテーブル席で向き合い
ビールを流し込んでから、思い切りテーブルを叩く

「あー、彼女欲しい」

俺がそう言うと、向かい側に座っているさっちゃんが
噴き出した

「俺だってできたら苦労しねぇよ」

「だよなー」

ドラマみたいな恋物語はそう簡単にあったりしない
分かっているからこそ悲しいんだ

そんな会話を交わしながら小一時間、
そろそろ居酒屋をでようとした時、電話が鳴った
相手は先週彼女ができたやつだった

「もしもし?」

「…フラれた」

俺はさっちゃんと顔を見合わせて、にやりと笑った

「じゃあいつもの居酒屋に集合だ。
 ちょうど俺らもいるからさ」

「あぁ、ありがとよ」

じゃあな、そう言って電話を切ったあと
さっちゃんとガッツポーズをした

人の不幸を喜ぶのは性に合わないが、
正直ちょっと嬉しかった

「よし、仲間が増えたんだ、もう一杯やるぞ!」

5/17/2024, 10:59:24 AM

#真夜中

風呂に入ってから、ベットに潜り込んだ
そして、深いため息を一つ

…今日も疲れた
バイト先ではミスして怒られるし、
彼氏からもらったキーホルダーもなくしちゃうし…

毛布をかぶっても眠れない

仕方なくケータイをぼーっと眺めていた
明日は土曜日、別に早く起きなくてもいいのだけど
今日はもう何も考えたくなかった

お気に入りのインフルエンサーの投稿、
最近話題のソーシャルゲーム、
明日の天気予報…
何を見ても、満たされなかった

「声、聞きたいな…。」

彼氏とのメールの文面を読み返す
最後のメッセージは昨日になっていた

ふと時計を見る
深夜0時だった
さすがにこんな時間にメールをするわけにはいけない

諦めて目を閉じた瞬間、ケータイが音を立てた
彼氏からの電話だった

私は贅沢ものだなと思いながらケータイを手に取った

5/12/2024, 11:51:29 AM

#子供のままで

小さな足で駆け出した

赤いカバンが揺れ

結んだ髪が風になびく

自分よりも小さな花をちょんちょんと突き

「お花さん、きれい!」

と目を輝かせた

子供のうちは、全てが綺麗だった

空も、花も、鳥も、全て

いつか、世界のみんなが仲良くなれるんだと思っていた

そう思っていたほうが、ずっと幸せだったんだ

子供がきれいと突いていた花を

大人は平気で踏み潰す

そんな世界は嫌だっていくら嘆いたところで

歪んだ旋律は直らない

この子が大人になる頃には

少しは過ごしやすい世界になっているのだろうか?

どうか、その時まで

子供のままでいて…

5/11/2024, 11:18:04 AM

#愛を叫ぶ。

今日も僕は、愛を叫ぶ。

姿の見えぬ君に
今日誕生日だった君に

“大好き”

そのたった5文字が言えなかった

喉の奥で何かがつっかえて
プライドという汚いものが邪魔をする

もっと早く言えていたら
抱えきれぬほどの愛を与えていたならば

きっと君も幸せで、
ずっと僕も満足で、

過去を消しゴムで消して
未来をえんぴつで描きたい
人生という真っ白なキャンパスに

黒を塗っても、白を塗っても
満たされないから

たぶんどんな色でも駄目なんだ

まだ何も届いてない

いくら言っても届かないのは、分かってるけど
これは僕の自己満足
これは僕のエゴだから

せめて毎日言わせてよ

「愛してる!」

5/10/2024, 12:22:33 PM

#モンシロチョウ

ひらひらと、 
ふわふわと、

ただそれだけが怖かった

2つの目が私を睨む
そこに顔があるかのように

表の顔と、裏の顔

それをきっと
上手く使い分けてる

あちらに行ったと思えば
こちらに戻ってくる

そっくりだね
あなたに

私はきっと、
そんなモンシロチョウに騙されたんだ

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