#恋物語
“恋なんて、興味ないからさ”
先週までそう言ってたあいつが、
いつのまにか彼女をつくりやがった
あいつだけじゃない
今まで『独身仲間』だった奴らもほとんどいなくなった
そして残っているのが俺を含め、二人だけである
寂しくなったテーブル席で向き合い
ビールを流し込んでから、思い切りテーブルを叩く
「あー、彼女欲しい」
俺がそう言うと、向かい側に座っているさっちゃんが
噴き出した
「俺だってできたら苦労しねぇよ」
「だよなー」
ドラマみたいな恋物語はそう簡単にあったりしない
分かっているからこそ悲しいんだ
そんな会話を交わしながら小一時間、
そろそろ居酒屋をでようとした時、電話が鳴った
相手は先週彼女ができたやつだった
「もしもし?」
「…フラれた」
俺はさっちゃんと顔を見合わせて、にやりと笑った
「じゃあいつもの居酒屋に集合だ。
ちょうど俺らもいるからさ」
「あぁ、ありがとよ」
じゃあな、そう言って電話を切ったあと
さっちゃんとガッツポーズをした
人の不幸を喜ぶのは性に合わないが、
正直ちょっと嬉しかった
「よし、仲間が増えたんだ、もう一杯やるぞ!」
5/18/2024, 11:04:55 AM