君と出逢って
きみと出逢って
人生が変わった
きみの太陽のような明るさ
つるつるの肌
そしてどんな時でもそばにいてくれる
そんなきみが大好きだ
今日もまた
君は僕の元へやってくる
真っ白な皿にのって
運ばれてきたきみをみつめる
今日も
目玉焼きの上で、卵の黄身が輝いていた。
耳を澄ますと
あぁ、今日も聞こえる
深夜0時
真っ暗な窓の向こうから
イタイ…イタイ…って
男の人たちが話してる
痛い…?
しばらくすると、
何かを引きずる音が聞こえた
ズル…ズル…ズル…
数日後、またその声が聞こえた
でもいつもとは違ってはっきりと聞こえる
“この遺体、どうしましょうか…?”
二人だけの秘密
まっさらなシーツが敷かれたベットから降りて、
今日も僕は彼女の元へと向かった
ガラガラガラ……
薬の入った点滴を持ちながら歩くのは大変だけど
彼女に会えるなら問題ない
ドアを開けると、可愛らしい寝顔が見えた
病室の時計は午前7:00を指していた
少し早かったのかもしれない
「起こしましょうか?」
看護師さんが聞いてきたが、
もう少し寝顔を見たかったため断った
彼女のそばにあった椅子に腰掛け
彼女の寝顔を覗き込む
やわらかく閉じられた目
雪のように白く、清らかな肌
微かにすーすーと小さな寝息が聞こえる
彼女を一言で表すとすれば、間違いなく
“小鳥”だろう
この幸せな時間をあと何回過ごせるだろう
手術は二週間後だ
僕も彼女も一緒に受ける
ただ1つ違うのは
僕は死んで、彼女は生き続けること
僕の心臓を彼女に提供するのだ
相変わらず彼女はすやすやと眠っていた
彼女と会えなくなるのは辛い
だけど、それ以上に
彼女が外の世界を見られるようになるのが一番嬉しい
二人だけの、秘密だ
優しくしないで
“大丈夫”
“いつでも頼って”
そんな言葉をかけられると期待してしまうから
この人なら、私を救ってくれるって思ってしまうから
やめて
お願い、優しくしないで
失ってしまうのが、きっと怖いんだ
1人残されるのが、辛いんだ
だったら最初から1人ぼっちのほうがよかったって…
悲しいよ
その優しさが
酸性雨みたいに私の心を溶かしてく
何もいらない
大金持ちになんてならなくていい
人はお金で、随分と変わってしまうから
才能なんてなくていい
自分に自惚れて、周りの優しさに気づけなくなるから
不死身になんてならなくていい
大切な人はみんないなくなって、
自分だけこの世界に残されるのは嫌だから
特別なものなんてなくていい
この世界で、毎日を過ごせているだけでも
幸せなのだから