二人だけの秘密
まっさらなシーツが敷かれたベットから降りて、
今日も僕は彼女の元へと向かった
ガラガラガラ……
薬の入った点滴を持ちながら歩くのは大変だけど
彼女に会えるなら問題ない
ドアを開けると、可愛らしい寝顔が見えた
病室の時計は午前7:00を指していた
少し早かったのかもしれない
「起こしましょうか?」
看護師さんが聞いてきたが、
もう少し寝顔を見たかったため断った
彼女のそばにあった椅子に腰掛け
彼女の寝顔を覗き込む
やわらかく閉じられた目
雪のように白く、清らかな肌
微かにすーすーと小さな寝息が聞こえる
彼女を一言で表すとすれば、間違いなく
“小鳥”だろう
この幸せな時間をあと何回過ごせるだろう
手術は二週間後だ
僕も彼女も一緒に受ける
ただ1つ違うのは
僕は死んで、彼女は生き続けること
僕の心臓を彼女に提供するのだ
相変わらず彼女はすやすやと眠っていた
彼女と会えなくなるのは辛い
だけど、それ以上に
彼女が外の世界を見られるようになるのが一番嬉しい
二人だけの、秘密だ
5/3/2024, 12:46:52 PM