それでいい
隣にあなたがいる
それでいい、それだけでいいの
だから、“将来のこと”とか言わないでよ
結婚しようだとか、子供を育てるかとか、
急に聞かれても困るし…
私は今の距離感が好きなのに
私達の関係は『恋人』それ以上でも以下でもない
かと言って別れるのは嫌だから
今日も曖昧にやり過ごそう
いつまで先延ばしにできるかな…
せめて、来月までは…
この世から去る日までは彼のそばにいたいな…
私は、数ヶ月前から不治の病で余命宣告を受けていた
でもそのことは彼には言わなかった
だって、最後に見たいのは
彼の泣き顔じゃないから…
一つだけ
僕は“死にたい”と思い、ビルから飛び降りた
この高さなら間違いなく死ねると思っていた
でも結局、死ねなかった
「奇跡だ」「なんでこんなことをしたの」
重度の骨折で終わった僕を見下ろして、
両親と医者から言葉という名の酸性雨が浴びせられる
それらは僕の心の傷を悪化させるだけだった
喜ばないで、問い詰めないで、慰めないで…
僕は“死にたい”というよりも
“消えたい”のかもしれない
僕を知る全ての人の記憶から
おとぎ話の世界のように、魔神というものがいて
願いを叶えてくれるのだとしたら
僕は間違いなくこう答えるだろう
「ただ一つでいい、消えさせてくれ」と
大切なもの
どうせ失うくらいなら、
大切なものなんてなければよかった
財産も、時間も、人々も
いずれはみんな消えてしまう
そこにただ1つ残るのは悲しみだけ
悲しさを感じてしまうのは
大切なものを作ってしまったから
この命も本当に大切なものなのだろうか
誰かに必要とされているわけでもなく、
ただ茫然と生きているこんな自分は
地球にとって大切なものなのだろうか
エイプリルフール
私は4月の愚か者
静寂に包まれた部屋で
1人で泣いた
もうあなたは戻らない
窓から見えた桜の木
桜の花びらはくすんで見えた
心情とは裏腹に
空は清々しいほど晴れているのに
全部、嘘だったら
どんなにいいだろう?
あなたも嘘だと言って、帰ってきてよ
そんな虚しい心の叫びは
民衆の声によって掻き消された
私はエイプリル・フール
幸せに
お兄ちゃんは私のことを嫌っていた
お菓子は全然分けてくれないし、
ギュッとしたらやめてって怒られるし…
それでも、私はお兄ちゃんが大好き
だって世界に1人の大切なお兄ちゃんだもん
でも、お母さんに「妹を大切にしなさい」って
言われた時のお兄ちゃんはとっても苦しそう
その度に
“おまえなんかいなかったらよかった!”
って言われる
私がいなかったら、お兄ちゃんは元気になれるのかな?
幸せに暮らせるのかな?
あ、そっか…私が、お兄ちゃんを苦しめてたんだ……
私なんて、どこか遠くに行っちゃえばいいんだ
ガチャッ
バタンッ
どこに行けばいいんだろう?
何をすればいいんだろう?
寂しいなぁ…
けど、お兄ちゃんが幸せになるなら…
「どうか、幸せに生きて…」