一つだけ
僕は“死にたい”と思い、ビルから飛び降りた
この高さなら間違いなく死ねると思っていた
でも結局、死ねなかった
「奇跡だ」「なんでこんなことをしたの」
重度の骨折で終わった僕を見下ろして、
両親と医者から言葉という名の酸性雨が浴びせられる
それらは僕の心の傷を悪化させるだけだった
喜ばないで、問い詰めないで、慰めないで…
僕は“死にたい”というよりも
“消えたい”のかもしれない
僕を知る全ての人の記憶から
おとぎ話の世界のように、魔神というものがいて
願いを叶えてくれるのだとしたら
僕は間違いなくこう答えるだろう
「ただ一つでいい、消えさせてくれ」と
4/3/2024, 12:07:34 PM