何気ないふり
何気ないふりしてるけど
ちゃんと分かってるよ
あなたが浮気をしていること
相手の女性はそれで騙せたかもしれないけど
妻の目は騙せないから
あなたが再々スマホを触るようになったこと
私が何してるのって聞いても曖昧にすること
私がいない間にこっそり出かけてること
全部知ってるから
浮気するくらいなら
好きにならなければよかった
愛を求めなきゃよかった
浮気してるでしょって問い詰めてやりたい
いっそうのこと離婚しようかしら?
でも、心の底で駄目だって声がする
明日こそは…
先に伸ばして、伸ばして……
こんなの自分が悲しいだけなのに
もう少しで結婚記念日だったのにな…
「なぁ、今度の日曜日空いてるか?」
え?それって…
「…結婚記念日?」
「うん」
「空いてるけど」
「ちょっと行きたいところがあるんだ」
「?」
その後、夫が妻にサプライズとして
ディナーとプレゼントを用意していてくれたことを知り
“浮気を疑ってしまった”
なんて決して言えない彼女であった
ハッピーエンド
物語の終わりはいつもハッピーエンド
だったら、人生の終わりもハッピーエンドなのかな?
いい行いをした人は天国に行けて
そこでいつまでも幸せに暮らせるって言われてるけど
そんなの誰にも分からない
誰が決めたの?
どうしてそんなことが言えるの?
死ぬことを恐れた人を慰めるために
そう言っただけだったら笑えるね
私は辛い
今すぐにでも死にたい
死にたいというよりもみんなの記憶から消えたい
初めから“私”なんてこの世にいなかったことにしたい
消えて、この辛い現実から抜け出せるなら
それでいいじゃない
それが私の“ハッピーエンド”なんだから
見つめられると
君に見つめられると
稲妻に打たれたかのように
心臓がドクンッと大きく高鳴る
顔が赤くなり、汗も出てくる
話しかけてくれるかな…と
期待してしまう
だけど、君は何も言わなかった
ちょっと残念
でも、この距離感が私は好き
My Heart
誰かに嫌われたくないから
今日も仮面を被る
きっと私だけじゃない
みんな仮面を被ってる
社会という小さな小さな檻の中で
仮面舞踏会が開かれている
そこで人々は毎日、毎日同じことを繰り返す
変わらない音楽に身をまかせ
言われた通りに踊るのだ
そして誰もが自分の“個性”を見失っている
その言葉を忘れてしまったかのように
私もまた、その一人
「Where is My Heart ?」
ないものねだり
“誕生日に欲しいものはあるか?”
メールの文章と共にスタンプが送られてきた
祖父からだった
かなり歳のはずなのに、
あっさりとデジタルを使いこなせるとは…
さすが祖父だ
「欲しいもの、か……」
今は物欲がなかった
それどころか何に対しても興味が湧かないのだ
いわゆるスランプというやつだろうか?
だが、ひとつだけ欲しいものがある
それは『才能』だ
私のクラスメイトはみんな得意なことを持っている
絵を描くこと,スポーツをすること,演奏すること……
しかし、私にはみんなのように自慢できることが
何一つとしてないのだ
勉強もあまり得意なほうではないし、
容姿も華やかではない
超がつくほど凡人だ
だから才能がほしい
才能は人にもらうことができない
そうわかっていてもなぜか求めてしまう
“才能かな笑”
ダメ元でそう送ってみた
冗談のつもりだったが、祖父はちゃんと返事をくれた
“才能かぁ…わしには何にもないのう”
“だがな、わしは才能なんていらんと思うよ”
“え?”
“才能があればいい仕事にも就けるかもしれんがな、
きっと大変じゃよ。おんなじ才能を持った人に抜かれんように必死にならんといけんし、才能に自惚れて他の
選択肢が見えんようになるかもしれん
だからわしはいらんと思うよ”
……そっか
“おじいちゃん、ありがとう”
“また決まったら教えてくれい”
“うん”
やっぱり特別な才能なんかいらないんだ
ないものねだりしたってしょうがないもんね
また祖父に元気をもらえた