『この世界は』
この世界は、私と繋がってる。
でも私と彼の世界は、二人だけの世界。
世の中にはたくさんの世界がある。
それらが繋がり合って、大きな世界になってる。
二人だけのこの世界は、二人だけのもの。
だから、自由に生きて良いんだ。
ここだけは許される。
そんな世界で在りたい。
守りたい。
笑っていたい。
二人で手を繋いで生きてゆきたい。
そんなことをふと思って、メッセージを送る。
「声が聴きたい。」
しばらくして、電話が掛かってきた。
『どうしたの?』
彼の声、二人だけの通話の世界。
ベッドに寝転がりながら繋がる世界。
音だけで、声だけで伝える。
「ありがとう。電話してくれて。」
(ありがとう、繋がっていてくれて……)
想いを込めて、気持ちを伝える。
この世界を繋いでいくために。
どうして……
どうしても合わなくなる、相性というものがある。
付き合ってみても、楽しいことだけ楽しめても、噛み合わなくなってきたり。
本質が、後々見えてくる。
ずっと続けられるなんて、最初から約束出来ない。
お互いに努力が必要だと思う。
でもそれ以上に、本質的な相性。
すべてが絶対的ではないから、擦り合わせる必要がある。
そのすべてを越えた、相性のいい人。
出会えるといいな。
運命の人に。
『どうして』
『夢を見てたい』
今の会社に入社して3ヶ月、そろそろ仕事にも慣れてきたかなというところ。
先輩が素敵だということに気づいた。
気づいてしまった。
いつも仕事を優しく教えてくれる、気遣って声を掛けてくれる、笑い掛けてくれる……
なかなか慣れなくて緊張しっぱなしだった私に、リラックスするように笑顔で話し掛けてくれる素敵な人。
そう気づいたら、彼が近くに居るだけでドキドキするようになってしまった。
(どうしよう。)
私の憧れの人。言葉を交わすだけで楽しくて嬉しくて。夢中になっている。
こんなトキメキ久しぶりかも。
そわそわして落ち着かない。どうしよう。
でも、まだ告白とか、そういうことは考えられない。まだ早いとかいうより、まだこのままで居たい。まだ夢中で居たい。この気持ちを壊したくない。
もう少しこのまま、傍で見ていたい。
ただ、夢を見ていたいだけなんだ。
今はまだ。
いいよね。
楽しくて嬉しくて幸せな日々。
推しを見つけて、神様に感謝したくなっちゃうくらい。
好き……
ずっとこのまま、なんて……嫌だ。
このまま私の人生が変わらないなんて。
このまま、ただ苦しんで踠いて潰れて終わってくなんて、ありえない。
生きてる喜びを感じたい。
ふつうの幸せが私も欲しい。
普通じゃない私にも、与えて欲しい。
世の中は平等じゃない。
幸も不幸も当たり前にある。
私は幸せを掴み取りたい。
その為なら、最大限の努力をする。
何もしないで、諦めて生きてくなんて嫌だ。
最後まで足掻く。
出来る限り最善を尽くす。
未来をどうしても変えたい。
今のままじゃ嫌だ。
嫌だという意志を強く持って。
明日へ踏み出す。
絶対変えてやる。
ずっとこのままじゃない、未来へ。
『ずっとこのまま』
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昨日の投稿、数時間後に「彼version」を追記してます。
見逃している方、気になる方はそちらもどうぞ。
今日の投稿は、いつものとは関係ありません。
『寒さが身に染みて』
「……寒い……寒い、寒いぃぃ~!」
夜、ちょっとコンビニに買い物に行こうと外へ出たら、風が強過ぎて、あまりの寒さに凍えてしまった。
そしたら、隣の彼が笑ってる。
「そんなに言っても、寒さは無くならないよ。」
「だって~~~」
縮こまって震えてる私に笑い掛けて、彼はゆるゆると自分のマフラーを解いた。
「だからマフラーあった方がいいって言ったのに。」
そう言って、あったかい体温の残るマフラーを、私の首に巻いてくれた。
「わー、あったかい!」
「全然違うだろ?」
「うん。」
一人で温まって、チラリと彼を見る。
「寒くない?」
「いいよ、俺は。」
笑って頭をポンポンする。
「半分こする?」
「え?」
マフラーを半分、彼の首に掛けた。
「学生じゃあるまいし。」
そう言って吹き出して笑う。
「いいじゃん、こういうの。誰も見てないよ。」
私が言うと、彼はじっと私の顔を見て。
「じゃあもっと近付いて。」
そう言って私の肩を抱いた。
フフッと笑って、彼に寄り添った。
「カップルっぽいね。」
「カップルっぽいね。」
二人でそう言い合って、笑顔を交わした。
子供みたいなことをするのも、たまにはいいな、なんて思って、それを受け入れてくれる人であることも、またいい。
顔が赤くなったのは、きっと寒いせい。
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『寒さが身に染みて ~彼 side ver.~』
『このクーポン今日までなの思い出したから、どうしてもコンビニに行きたい!』
という彼女の希望により、俺もついていくことにした。
こんな寒い日は、寒がりだった元彼女のことを思い出す。いつもマフラーぐるぐるで、腹巻きもしててカイロも身に付けて、冷え症で足の指なんて変色してて可哀想だったなぁ、と。だからいつも俺は、いつでも温めてやれるように、あったかグッズを携帯していた。
それが今の彼女ときたら、『コンビニ近いから上着なくても平気かな?』なんて、たいそう気丈夫なことを言うもんだから、コートだけは着なさいと、着せて家を出た。
「……寒いぃぃ~!」
案の定。
私は冬は強いから、なんて言ってても、やっぱり寒いもんは寒いだろ。
風邪でも引かれちゃ困ると思ってマフラーを差し出す。
「半分こする?」
思えば、半分も返されたことはなかったな。元彼女は、いつもあったかいもの独り占めだったから。
くっついて歩くのが、なんだかこそばゆい。けれど、彼女と一緒に温かくなれる居心地の良さに、俺はひとときの、他の女とは違う安らぎを感じていた。
俺は寒くても全然構わなかったのだけど、一緒に寒さも温かさも感じられることに喜びを覚えていた。