美夜

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1/5/2023, 12:21:54 PM

 『冬晴れ』


 「今日もいい天気だね~」
 彼女が空を仰いで嬉しそうに笑う。
 「そだね。」
 今日から仕事始め。久しぶりに出勤し、姿勢を正して恭しく年始の挨拶などをして回る。
 後輩である彼女にも形式的に挨拶して、お互いにクスッと笑った。正直、周りにはもうバレているが、そこはもう皆大人なので、温かく見守ってくれている。
 ランチに二人で外へ出て、冬のシンと冷えた空気を深呼吸する。彼女の嬉しそうな笑顔の輝きは、冬晴れにも負けていない。
 「少し散歩してから戻ろうか。」
 「うん!」
 こうしてただ肩を並べて歩くだけで、自然と気持ちが安らいでいく。年始早々の急務の束の間に、ひと息つけるだけでも楽になる。
 はぁぁ、と吐き出した白い息に手を擦り合わせ、そっと彼女の手を握った。
 目を合わせて微笑む彼女に微笑み返す。
 ひとときの冬の散歩道に、あたたかな癒しを貰った気分だった。

1/4/2023, 11:07:08 AM

 今の私には無い。
 無くなってしまった。
 どんなに求めても、求めても、手に入らない。
 あの時あった幸せは、今思えば奇跡のようなものだった。
 もっと努力するべきだった。
 彼のためにもっと沢山、気持ちを伝えておけば良かった。
 どんなに悔やんでも、もう元には戻らない。

 失いたくなかった……

 幸せとは、賞味期限のあるものなんだろう。
 その時しか味わえない。
 永遠に続かないから、大切にするんだ。


 『幸せとは』



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ネガティブなことは、タイトルを下に書くことにします。

ハートを送ってくれた方、読んで下さった皆様、ありがとうございます。
とても励みになっています。

いつもはイチャラブしてるだけですが、たまに切ないものも書けたらなと思っています。

1/4/2023, 3:08:06 AM

 『日の出』


 「初日の出って見たことある?」
 ネットで見た、初日の出を待つ人々の写真に感化される。
 『あるよ。学生の時、地元で一番見晴らしのいいとこ行って、仲間内で見たなぁ。』
 電話口で彼の懐かしそうな声が耳元に届く。
 「えー、いいなぁ。私も見てみたい。」
 私もそんな思い出のひとつになりたい。
 『うん。来年どっか見に行こうか。』
 他愛もない話の中で出てくる来年の約束。
 紡がれていく日々。
 二人の思い出。
 来年も、当たり前に一緒に居られるといいな。
 そう願いを込めて、その愛しい人の声を聴く。

1/2/2023, 10:49:33 AM

 『今年の抱負』


 実家に帰っている私の元へ、彼からLINEが来た。
 『今年の抱負を書きました。』
 写真が添付されていて、そこには筆ペンで書いたであろう大雑把な文字。
 『仕事を頑張る』
 私は彼へ返信する。
 「力強い字だね!でも、仕事だけ?」
 ちょっと寂しそうな絵文字を付けて送ると、彼から。
 『今が頑張り時だからね!将来、君を養っていくことを考えたら、稼がなきゃ!』
 にこりと笑顔の絵文字が付いてきた。
 (養う……)
 そんな風に先のことを考えてくれてるなんてと、つい感動してしまう。
 『もちろん、君との時間も大切にするよ。』
 普段、そんなストレートすぎる言葉を口にすることはないけれど、時々、文字で伝えてくれるこんな言葉にドキッとする。
 私もお返しに抱負を考えた。
 「私の抱負は、あなたの好きなご飯を美味しく作れるようになること。」
 送って、見えない彼に微笑んだ。
 (私の気持ちも伝わるといいな。)
 考えてくれたんだろう、少しして返信が来る。
 『ありがとう。』
 添えられた笑顔の絵文字が、とびきり嬉しそうに見えた。

1/1/2023, 1:59:22 PM

 『新年』


 「明けちゃったね。」
 「明けたね。」
 ベッドで二人微睡みながら時計を見る。
 「明けましておめでとう!」
 私が彼に微笑み掛けると、
 「あけおめことよろ。」
 短い単語で彼は済ます。
 「簡単すぎ~」
 私は笑いながら不満を漏らす。
 「気持ちはもう年末から充分伝えてる。」
 ふふっと笑って、キスをした。
 「そうだね。」
 新年っていう実感は、陽が昇って初詣にでも行かないと湧いてこない。
 「今年もよろしくね。」
 ちゅっとキスを返した。
 「よろしく……」

 彼のぬくもりに包まれて、今年一年の幸福を願う。
 「明日は、寝正月だな。」
 しあわせで、平穏で、豊かな一年になるといいな。

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