『冬晴れ』
「今日もいい天気だね~」
彼女が空を仰いで嬉しそうに笑う。
「そだね。」
今日から仕事始め。久しぶりに出勤し、姿勢を正して恭しく年始の挨拶などをして回る。
後輩である彼女にも形式的に挨拶して、お互いにクスッと笑った。正直、周りにはもうバレているが、そこはもう皆大人なので、温かく見守ってくれている。
ランチに二人で外へ出て、冬のシンと冷えた空気を深呼吸する。彼女の嬉しそうな笑顔の輝きは、冬晴れにも負けていない。
「少し散歩してから戻ろうか。」
「うん!」
こうしてただ肩を並べて歩くだけで、自然と気持ちが安らいでいく。年始早々の急務の束の間に、ひと息つけるだけでも楽になる。
はぁぁ、と吐き出した白い息に手を擦り合わせ、そっと彼女の手を握った。
目を合わせて微笑む彼女に微笑み返す。
ひとときの冬の散歩道に、あたたかな癒しを貰った気分だった。
1/5/2023, 12:21:54 PM