《見つめられると》
寝かせに来てるとしか思えない、午後の古典の授業。
眠さを殺す事に全集中して、話なんて聞いてなくて。
窓の外を眺めて、それにも飽きて。
ようやく本来の目的の板書に取り掛かろうとした時。
“…ぇ?”
隣の席のあいつに見つめられている。
目線で訴えたら、一瞬不思議そうな顔をしたけど理解してくれたみたいで。
📄:今日放課後、マック行きたい
そんな事を伝えるためだけだったらしい。
《My Heart》
“じゃーねー”
明日も部活で会えるのに。
卒業じゃなくて進級で、4月からだって会えるのに。
もしかしたら、2年こそは同じクラスになれるかもしれないのに。
返答に困る。
別に普通にじゃーね、でもバイバイでも…適当な返事でもいいわけで。
なのに。
なのに。
片想いは今年度迄。
って思ってまた、来年の4月になることは容易に想像できる。
2026.3.27
《ないものねだり》
“おねーちゃんおかえり!!”
周りと比べれば、歳の差のある妹が私にはいて。
3年前まではひとりっ子で、お姉ちゃんになりたいなんて思ってたのに…、ちゃんと心の底から嬉しかったのは1歳までの間。
妹が大きくなるにつれて、知識とやらがついてきて、自分より周りの目が気になって。
ふたりで手繋いでたところを親子って言われたのは、人生でもう5回は軽く超えてる。
“わたしもおねーちゃんとぴあの行く!!”
あーあ。
思い出したくもないのに。
今日は観たいテレビがあるから、早く課題終わらせて…。
なんて思ってたのに。
でも多分、観たいテレビは妹によって別の番組に変えられるんだろう。
それで喧嘩になったら、私が怒られて…。
お姉ちゃんになんてなりたくない。
ピアノなんて、プロ目指してる訳じゃないしもう辞めたい。
26.3.26
《好きじゃないのに》
“妊娠8週ですね”
子供なんて好きじゃないのに。
さっきまでの私なら、涼と一緒にふたりでいられればそれでいい!!
そう思ってたのに。
モニターに映る我が子…らしき塊は白黒なのにまだ人間らしい姿形してないのに。
なのに。
なのにこんなにも愛おしい。
涼との子。それもさらに愛おしさを加速させてくれるスパイスで。
私の人生観を一瞬で捻じ曲げてくれて、180度変えてくれて。
急に20代半ばの私にありもしなかったはずの母性とやらが芽生えてきて。
ワクワクとドキドキだけが今は心の中にあって。
仕事のこと、これからのこと。
今はその事実にはちょっとだけそっぽを向かせてもらった。
2026.3.25
《ところにより雨》
“〜はところにより雨になるでしょう”
いつもの定位置に置いておいたテレビのリモコンに手を伸ばし、昨日の夜見たドラマと同じ放送局の朝のニュース番組が今日の天気を告げてくる。
あーあ、関東の冬って結構晴れるって聞くじゃんねー。って同居人だってペットだって居ないのに、話しかけるように言い聞かせて。
そう思い終わって、天気予報から最近の政治のニュースにコーナーが切り替わった頃に、そういえばもう春だなーって思わされて。
卒業も入学も社会人の私には関係なくて。
あーでも、新卒の子今年何人入るって言ってたっけなーって思ったくらいで、考えるのは辞めた。
私は学生時代からどうにも雨の日とは仲良しになれない。
仲良しだったのは…せいぜい2、3歳の頃に水たまりに思いっきりダイブした…そんなくらい。
気付けば、私の中の雨の日は頭痛がセットの誰も頼みたくないような仕上がりになっていた。
モゾモゾと起きて、カーテン開けて。
出社は済ませたのに、頭痛薬はしっかり持ったのに、傘だけ忘れた。
2026.3.25