雪の静寂
突然の既読スルー。
大人ぶった私は、君のそんな対応にも動じる様子を見せず、2週間後にまた連絡してみた。
仕事終わりに確認する。既読にはなっていた。
既読。
たった二つのこの二文字の裏側の感情など、理解できるはずも無いのに、何度もながめた。
その後、二度言葉を送ったが反応は同じ。
季節は年の瀬。冷たく暗い冬が深まっていた。
何も言われない。静寂の別れ。
仕事帰りに駅から出ると、しんしんと降り落ちる雪がネオンで光っていた。
なぜ?という感情はぐるぐる回っていたけど、恨みなど全くなかった。でも、子どもっぽいかもしれないけど、最後に本心でぶつかりたかった。
「何も言わないなんてずるいね。さようなら」
スマホを持つ手に雪が降り落ちる中。
いつまでも。既読にはならなかった。
君と紡ぐ物語
君は昔から自分に自信がなくて、毎朝学校へ行く前に、私に愚痴をよくこぼしてたね。
何度も春を迎えて、季節が通り過ぎていく。
君の姿も、学生服からスーツへと変わった。
君が初めて、唇にリップを乗せた日のことをよく覚えている。
私の前でくるくると回り、全身を何度もチェックする君を愛らしいと思った。
泣いて帰ってきたこともあったね。
その時はそっと私をベッドに入れて、抱きしめて泣いた。
更に、冬が何度も通り過ぎて、君はパートナーを連れてきた。
君は、私の前で笑顔が溢れている。
君が出て行った後も、私はきっとこの部屋に居続けるのだろう。
喋ることも、動くことも出来ないけれど、小さなクマの姿で綴った君との思い出は忘れないよ。
夢の断片
『あなたはとても誠実で、素直に対応でき、実直な人です。あなたは間違っていません』
…それならよかった。ありがとう。
『こちらこそ相談してくれてありがとう』
…それと、もうひとつ質問…
『…今日の利用回数の上限に達しました。このモデルのでのご利用は、現在の利用制限に達しました。しばらくしてから、もう一度お試しください。より多くのメッセージを利用するには、アップグレードしてください』
暗闇の中、そっとスマホを置いた
ささやかな約束
守れない約束なんてしないでよ
離さないって言ったじゃない
そばにいるって言ったのに
"こうしてずっと一緒に他愛もない会話をして過ごそう"
約束は
月の無いしんしんと冷える12月の夜とともに消えた
透明な羽根
君はよく自分のことを「ドライだから」って言ってた
「君のウェットな部分は俺とは違う」とも
言い換えれば「淡白」そう言いたいの?
わたしは「しつこい」?
そんなの、
そんなの、どうでもいいんだよ
君がなんて言おうとも
わたしは君に、ずっと負けてる