お題 : 花の香りと共に
卒業式、先生に花を送る人とかはいるのだろうか。
明日、違う学校の友達は卒業するのだけれど、どうやらそのクラスみんなで花を先生に送るらしい。
それを聞いて、ふと考えたこと。
まぁ花を送る人はいなくとも、どうせ退場する時に一度は花を持つことには変わらないのだが。
それを私は見つめるだけで、花を抱える先生を見送るだけで。
その貰った花から香る匂いを知ることはできないし、なんの花があるのかを知ることもできない。
私が知るのは、先生に送ることが出来るのは手紙だけ。
ただ、その事実から出る醜い感情を美しく捕らえると考えるなら、少しは楽になるのだろうか。
そうして考えるとするのなら。
そうやって抱えていた花と共に、私の手紙を添えて。
「こんな生徒も居たな」と何十年経っても探していて欲しい。
…………いや、これは美しい考え方か?
自身が思い浮かべた考えに疑問を持ちながら、来て欲しくない明日に備えて眠る。
嗚呼、私もうすぐ卒業するんだなぁ。
ただ、変わらない考えを持ちながら。
” 卒業式まであと2日 ”
お題 : 心のざわめき
「もうすぐ卒業だし、手紙書こっかな〜」
『いいじゃん。私も書こっかな』
『……あ、待って。お風呂入れって言われたの忘れてた。それじゃ私入ってくるね、また後で』
「はいはーい!また後で」
ガチャン。
通話をして思い出話に花を咲かせていたところに、無音の空間が広がる。
さて、手紙。今のうちに書いちゃおう。
レターセットはつい先日に買っていた。書く内容は決めてないけど。
ボールペンをカチカチしながら、頭に浮かんだことを整理する。あれは絶対書く。あ、これはどうしよう。書いた方がいいかな。
そうしてる間にも時間は止まってくれない。
ずっと進む。
明日は月曜日。
明日、卒業式に渡せるか分からない先生たちには渡す。
そして各クラスの担任の先生には、卒業式に渡す。
…………それでもう終わり。
それ以上何かある訳でもないし、何も無いわけでもない。
ただ、私の最後の恋は終わる。
「あー、卒業嫌だなぁ…」
心の動悸を紛らわすように、無音な空間に私の独り言が響いた。
” 卒業式まであと3日 ”
お題 : 君を探して
「もうすぐ卒業だってさ。信じられる?」
信じられない。
いつも待ち遠しくしていた休日だって惜しく感じる。
卒業して仲間と離れることが嫌なのではない。この学校にいる、大好きだった先生と離れることが惜しく思うのだ。
短くて長い年月の間、長く担任を持ってくれた先生。
ちゃんと怒る時は怒ってくれて、でもいつも褒めてくれて。その先生のおかげで、自分の性格にも才能のも気付けた、感謝しかない先生。
そんな先生とお別れか……。
悲しく思う。だけど、時間は止まってくれない。
それじゃ、また大人になって、自信を持って顔を合わせられるように。
これからの生活も頑張ろう。そして、忘れずにずっと頭の中に。ずっと。
まだ卒業はしてないけど。
卒業しても、ずっと私のことを探していて欲しい。
” 卒業式まであと4日 ”
お題 : 透明
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︎︎ ︎︎ ︎︎、︎︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎??
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また話そうね、不思議な固体さん。
お題 : 終わり、また初まる、
『何してんの?』
紅葉が咲き乱れる、その中に歩み寄る女性が1人。
風鈴ような女性の声がその場にも響く。
………その問いかけには、何も答えない。
下手な作り笑いを浮かべながら、その姿を眺める。
朧に霞む、その姿。そしてその顔は、はっきりと見えない。覚えてもいない。
手を伸ばしても、その体には触れられない。
その女性に背を向け、ただ歩き出す。
ただ1つ、一生引きずるであろう後悔を抱えつつ。
『ねぇ、今日ぐらいは話聞かせてよ』
真横から聞こえる、その声。
頭は動かさず視線だけで見る。そこには間違いなくあの女性が。
「……なんで、今更…」
ただ口から出たのは、その言葉だった。
_________もうこの世界に”君”はいない。
1つの手紙を置いて突然消えた、何十年前のこと。
もう”君”の顔も、名前も、姿も、思い出だって全部。この頭から消えそうになっている。
『………私、すごい今幸せだなぁ』
「急にどうした」
突然、隣で座る”君”がそう言い出したひぐらしの夏。
ふと言ったその「言葉」が、”君”の全てだった。
『だから。私すごい幸せ者になっちゃったから。そっちは幸せかって聞いてんの』
「……さぁ、よく分からない」
『じゃあ、いつか絶対「幸せ」って言わせてやる。てか言ってね。約束!』
「………はいはい、約束約束」
”君”の、最初で最後の願いだった。
”君”が花を添えて置いていった1つの手紙。それは全部、僕の幸せを願うような手紙。
「 ”君”はここに居てはいけない。早く…早く帰ってくれ。じゃないと君も僕も困る。 」
『 いつか帰るよ、いつかね 』
僕は、君がいないと困る。帰らないでいいよ。
…そんなこと言えるほど、無責任なことはできずに。今ただ、「寂しい」という気持ちだけが手の中にある。
ただ、君だって分かってたはず。
僕も君も、互いがいなきゃ「願い」など叶わないことぐらい。
『__だから、話聞かせてって。わざわざ来たんだから』
「……元気か?」
『え、そこで話振る!?……ま、元気だと思うよ』
「…………なら、良かった」
『…まさか、覚えてるとは思わなかった。あの時、ちゃんと願ったのに』
「四葉に願いを込めると必ず叶う」。此処では有名な”魔法”だった。
ただし、3回するとその場所から消えてしまう。
だから”君”は消えた。それは頭では分かっていた。…ただ、信じたくなかったんだと思う。
「こんな想いするなら、”君”と出会わなければ」。そんな後悔はある。でも、忘れることなんて思えることはできなかった。
………それでも最近、頭から記憶が落ちてきてる。
これで話すことはできない、最後。なんとなく分かってはいた。
『………それで、幸せ?』
「…幸せだったよ。君のせいでね」
『やっっっと聞けた。過去形なのは気になるけど……じゃあもう、帰ってもいいや』
「待って」
引き止める気は無かった。でも、これで終わりで。
最後に、願いごとの1つのぐらい叶えてあげたくて。
何十年も”君”を忘れずに、恋をするのがすべてだったんだ。
「お願いだ……最後に、願いを聞かせてくれ」
『じゃあ、叶えてもらおうかな』
より霞むその姿。その手に微かに見えたのは、四葉。
…………嫌な予感は嘘ではなかった。
『 大好きな”君”が、”千秋”のことを忘れて、新しい人に出会え幸せになれますように 』
「………な」
君の姿が、霞んでより見えなくなる。
_______嗚呼、終わりなんだ。
その場に膝から崩れ落ちた。紅葉が醜く思えた。
”君”が、”千秋”が、何か言っているのが微かに見える。
もうその声も、頭には響かなかった。
手を伸ばしても、掴みどころはなく。
今、瞼を閉じた。
『あの……大丈夫でしたか?』
「………貴方は…」
_______そして、また初まる。