この世界は理不尽だ。
なんの努力をしなくたって運だけで登っていく奴も居る。
逆にどんなに努力をしたって常に底辺に居る奴も居る。
この世界は嘘だらけだ。
少なからず嘘をついたこと無いなんて人はいないだろう。
良くも悪くも嘘が混じる
それでもこの世界に生きるのは、貴方がいていいよって言う数人がいるから。
頑張ったら頑張っただけ認めてくれる人がいるから。
この世界は嘘だらけで理不尽だが、愛があって優しい
『どうして』
Tさんへ
ずっと手紙を書きたかったんですが、貴方がいた頃僕の頭に手紙を書くなんて考えがなくてかけませんでした。
あの時もし少しでも手紙がかけれたら貴方は僕の側に居て、僕が作ったクッキーを一緒に食べてくれてたんでしょうか?
皆んなはもういなくなった人なんだから忘れたらいいよなんて言いますが、初めて僕を可愛いと、好きだと言ってくれたら貴方が僕は本当に忘れられません。
あの日からなんか僕は少し壊れてしまったきがします
それまでは穏やかに皆と話が出来ていたのに、今では貴方みたいにいつか消えてしまうのでは、僕の何かが合わないと言われるのではと不安がずっと胸にあります。
ただ、貴方に貰った物もおおいんです。
優しい言葉、暖かい気持ち、穏やかな場所。
全部いい思い出になりつつあって一時期でも貴方と話せた事がこんなにも幸せだったんだなって女々しくも泣きそうになってます。
もっと貴方に好きですって言っておけば良かった。
ありがとうって感謝を伝えて置けば良かった
後悔ばかりが浮かんで、ずっとどうして?どうして?と叫びたくなりますが、消えた理由は貴方にしかわからない。
飽きた。と聞くよりはまだ何も言わず居なくなってくれた方が良かったのでしょう。
今後貴方以上の人が見つかるかわかりません
けれど前に頑張ってもう少しだけ進んでみようと思います。
幸せになってればいいな。
sより
「この箱に入れば一生眠り続け外には出れません」
胡散臭い魔術師は自分よりも大きな箱を叩くと怪しく微笑んだ。
真っ白な箱は下の方が少しだけ黒く染みていて、開いて見ると一人寝るのには十分なスペースがある
「その代わり、お腹も減らない無駄な時間を過ごす必要もない。
貴方だけの幸せが一生続きます
…夢という世界で。」
現実になんの未練があるだろうか。
必死に働けば自分よりも要領の良いやつの手柄になり。
好きな事をやっているだけなのにお前には向いてないと否定され。
こんな場所に生きてたってただ苦しいだけ。
なら箱に入って幸せな夢を見てるほうがよっぽどいいだろう
「中に入ることをお選びですか。
それはそれは…これで私ももうしばらく、世紀の大魔術を成功させられそうです。」
中に入ると選択すれば未だ怪しい魔術師はより一層胡散臭い笑みを強め、恭しくお辞儀をする
それを横目に箱に箱にはいる。
狭いが直に気になることもないだろう
温いお湯に浸かるような感覚を覚えながら徐々に閉まる扉を眺めるが恐怖はない
なんてたって今から見れるのは幸せな夢だ
幸せであるならずっと夢を見ていたいのだから…。
ずっとこのまま一つになって溶けてしまいたい
なんて言っていた人がいたけれど、本当にずっと一緒になんていられるのかしら?
恋に恋をしていたら溶ける前に怖気つくわ。
お互いがお互いを本当に求めていなければ無理ね。
なんて思っていたけれど、なんとなくわかるの。
ちゃんと来てくれるあの人に私もずっとこのままお友達でいたいわなんて思ってしまうから。
恋じゃなくていいわ。
飽きたら終わってしまうから。
好奇心旺盛なあの人は恋ではなくてもいつか消えてしまいそうで怖いわ。
だからあちらこちら興味がありそうな物を探しておくの。
そうすれば興味をいつでも持っていてくれるでしょう?
本当はいかないでなんて言えたらいいけれど、それも逆効果。
ずっとこのままの関係でいたいなら楽しくお話ができるようにしておかないと。
だけどね?ちゃんとあの人は私に会いにきてくれるのよ。
少しは私の何かが好きでいてくれてるのかしら?
『寒さが身に染みて』
「お伝えします。今日は底冷えの寒さでー」
いつも見る天気予報のお姉さんが、寒そうな姿でアナウンスするのをコーヒーを片手に見てると、玄関から両腕をさすりながらあいつが入ってきた。
「日課とはいえ寒い。」
毎日の日課の家の周りの掃除をしていたらしい。
慌ててコーヒーを淹れてやりながら朝食の準備もする
「底冷えの寒さだって」
「ありがとう。だからか、寒さが身に染みた」
それはそうだろう。コートも着ずに外に出れば寒い
コートごあると邪魔だからっていつも着てかないで、真っ赤な頬したあいつにトーストを差し出し出すと両手で顔を挟んでみた
「あったけー…。」
トロンとした顔で俺の手で暖を取る姿が可愛くて、ちょっとだけ申し訳ないけど寒くても良かったななんて思ってしまった