お題『秋色』
「どうする?新作フラぺ、梨か、芋か、栗か」
「どれも美味しそう・・・・・」
「僕のは考えなくて大丈夫ですよ。ホットの新作を頼みますので」
「OK。んじゃ、どうせ全員で味比べするんだから、1個ずつ頼めばイイか・・・・・」
「お前、この前から『金欠』とか言ってなかったか?」
「こう言う時の為に、別で貯めてんだよ」
「決めた、私お芋にする!」
「ほら、お前も早く決めろよ?俺が決めちまうぞ」
「はいはい・・・・・んじゃ、栗で行くか」
「りょーかい。すみません、この新作の ———」
「?その本、何の本?」
「コレですか?最近話題になっているサスペンス作品ですよ」
「あぁ、電車のチラシにあった奴か・・・・・面白いのか?」
「まだ読み始めたばかりですから何とも・・・・・しかし、伏線の張り方は面白いと思いますよ?」
「そうなの?」
「お前の感想は割と独特だからな・・・・」
「おやおや、なら、読み終わったら貸しますよ?」
「え、イイの?なら読んでみたいかな?」
「おーい、頼んできたぞ・・・・・って、何の話だ?」
「あぁ、ほら、電車の広告にあった新作の本を読んでるんだと」
「なるほどな・・・・・俺も興味があるが、それより2人とも、今度大会なんだろ?大丈夫なのか?」
「ああ、そう言えばもう少しで2週間後ですよね・・・・・今日部活を休んで大丈夫なのですか?」
「あ、うん。顧問の先生が出張で居ないから部活は今日休みなんだよねぇ・・・・・ま、別に大丈夫だよ」
「だな。家に帰ろうが、道場があるからそこで変わらず稽古はするし、寧ろ家の方が対戦相手居るからな・・・・・」
「それもそうか・・・・・つっても、片や初優勝、片や3連覇を目指してんだろ?それで大丈夫かぁ?っと、番号呼ばれたな」
「フフ、今年は最後ですからね・・・・・悔いの無い結果を残せるとイイですねぇ」
「それは勿論!、!あ、ホントだ。私も手伝うよ」
「まあな。とにかく稽古あるのみって所だ、っと。だな。俺は荷物見ておく」
「頼んだわ、!お、紅葉柄か・・・・・風情あんなぁ」
「わ。ホントだ・・・・・そう言えば、大会近所、この時期に紅葉が凄くて絶景スポットなんだって」
4人組の学生達が、食欲の秋、読書の秋、スポーツ秋、紅葉の秋を語る。
秋の黄昏月だけが、それを微笑ましく見守るだろう。
By ある世界線にて、4人組が仲良く秋を楽しむ一幕より
お題『もしも世界が終わるなら』
『もしも世界が終わるなら』だって?
んな、もしもを考えろなんて・・・・・
まあ、もし世界が終わるとしても、やる事なんて変わんねえかもな。
なんせ、俺は最終的には何時もと変わらねぇ日常を過ごして。
んで、いつも通りに『明日が来る』って思って目を閉じた方が怖くないだろうし?
あぁでも。
世界の終わり、ってのがどんな景色なのか興味はあるから。
もしかしたら、世界の終わりを見る為に誰かと一緒に眺める事も、あるかもしれねぇな?
By ある少女の問に返答する、ある青年の解答より
お題『靴紐』・・・・・
日数過ぎても思い付かなかったので、この前にあった『フィルター』で行きます。
許せ
お題『フィルター』
人間は愚かで滑稽だ。
何せ、メガネをかけてないと生きていけない人種だからなぁ・・・・・
まあ、元人間である俺が言えた身じゃ無いが。
?『全人類がメガネをかけている訳じゃない』?
あぁ、言い方が悪かったな。
メガネはメガネでも、物を見る為のメガネじゃない。
【色眼鏡】って言う物を通さなきゃ何一つ物を見れない・・・・・
要は、【自分の都合がイイ《フィルター》】を通してモノを見ないと、生きていけないのさ。
まあ、全部を全部直視しろとまでは、勿論言わないがな?
だが、《フィルター》越しは少しでも間違えると、自分達が犯罪者になる可能性だってある。
まるで、眼鏡が無いと物が見えない、歩けないみたいな人間だろ?
それが、愚かで滑稽だって話さ。
By 人間から神になったある人物の話
お題『答えは、まだ』
未だに、よく考える事がある。
もし、あの時の選択が間違っていたとしたら。
【もし】なんて物は存在しない事だから考えるな、とは言われているけれども。それでも、考えるのだ。
君は『その時は、俺を殺してくれ』と言った。
貴方は『その時は、一緒に罰を受ける』と言った。
あの子は『その時は、一緒に逃げる』と言った。
・・・・・私は、直ぐには答えられなかった。
私には、そんな覚悟は無かった。
だから、未だに考え続けている。
《私は、彼らの覚悟に答えられるだろうか?》と。
答えは、まだ
未だに、出てはいない。
彼らに返す言葉すら
答えは、まだ
By ある死神少女の、周りに対する後ろめたさについて。
【お題】君と見上げる月...🌙
君に無理を言って、高天原の皆には内緒で月を見に地上に降りた。
「バレたらブチギレられるの俺なんだが」
とか、
「とんでもないお転婆姫様だ」
なんて君はボヤいていたけれども、最近の事で何か思うことがあったのか。皆にバレない様に私を隠して地上に連れて行ってくれた。
初めて見る地上の景色
初めて見る地上に住む人々
初めて見る鳥や魚
初めて見る普段の君の姿
何もかもが新鮮で、何もかもが羨ましかった。
夜になって、2人だけで月が下で良く見える場所に座った。
とても綺麗だった。
初めて見る下から見た月(弟)も
隣で座って、静かに盃を傾ける君も
昼間見た真新しい景色以上に新鮮で、とても綺麗だった。
「また、一緒に月を見上げてくれる?」
と聞いたら、片目だけこっちを見て
「お前(私)が望んだら、まあ、考えなくは無いな」
と言ってくれた。
皆、君の事を良く思ってない様だが、
やっぱり、君は優しい神の一柱なのだと思う。
「じゃあ、また近い内にお願いしようかな」
「勘弁してくれ。頻繁だと流石にバレる。バレてキレられるのはお前じゃなくて俺なんだぞ」
と、少し気が滅入った様に君は言った。
「でも貴方は私の次位には強いじゃない」
「当たり前だ。【天】を持つ神が弱くてどうする」
と半眼になりながら私を横目で見た後
「そう言う問題じゃない。奴らにとっちゃ、俺は気に入らない存在でしかないからな」
と、鼻で笑った。
「そう言う問題なのかしら?」
「そう言う問題なのさ」
と君は言って
「さて、そろそろ戻らないと、居ない事がバレそうだ。帰るぞ」
と言って手を差し出した。
「・・・・・もう少しダメ?」
「言っただろ、アイツらにキレられるのは俺なんだぞ・・・・・」
と飽きれた口調で言う。
「わかったわ・・・・・」
「ちゃんと、また月を見に付き合うから不貞腐れるな」
と、君は苦笑いしながら言った。
でも、その約束は君が私に首を差し出した事で、
コレが、最初で最後の、君と見上げる月になった。
By 【天】を持つ女神と神の、女神の話より