題名:閉ざされた日記
その日記は、君の日記。
その日記は、閉じた日記。
見てはいけないのは分かってた。
開いちゃダメなのは分かってた。
全ての謎を解明するには、
日記を開いて推理ショー。
って簡単にはならないと、
知ってるのに開けてしまう。
好奇心と責任感に潰された私の命綱。
日記を開けて、解決しよう。
私の命を繋ぐため。
冤罪とか、贖罪とか、要らない私に不必要。
そして後悔してさようなら。
そして捕まってさようなら。
題名:木枯らし
西高東低の冬の日に
突き刺す視線と風が吹く。
木の葉の散らしたその風を
口をそろえて「木枯らし。」と。
秒速八メートルの風。
とばす自転車と、紙一重。
題名:美しい
―美しいの漢字の成り立ちって知ってる?
―確か、大きい羊、だった気がするんだ。
「そのまんまじゃん。だから?」
―漢字の成り立ちって面白いんだよ?
―例えば県って漢字はね、首から上を紐で縛って吊り下げるっていう成り立ちなんだよ?
「…怖い成り立ちだね。それで、どうしたの?」
―…何も、気づかなかったの?
「うん。何にも分からなかった。全部。」
―本当に?
「…気づかなかった、というのは嘘。だけど分からなかったのは本当。」
―…ごめんね。
「謝っても、何も変わらないよ。」
―お別れの挨拶と、出会いの挨拶。
―この場合、どちらが似合ってる?
「どっちも。」
題名:この世界は
この世界は、どうにもならない
私が世界を変えられないから
どうしても無理だ
題名:どうして
澄んだ青空と乾く喉。
声にならない声。
―どうして
と言えたなら、今を変えられたのかな。
過去を悔やんでも、今を妬んでも、心は晴れずに、空だけ快晴なんだよ。
君の名前を連呼する。
乾いた空気でくっくり見えたの。
遠い過去と重なる、君の笑顔が。
―どうして?
それは自分に対して
―どうして?
それは君に対して
―どうして?
それは現状に対して
―どうして?
それは誰に対して?
君の笑顔が交差する。
別れたことも忘れてしまえば。
全てが崩れてしまう気がして。
―待って!
追いかけたんだ。
―もう、諦めようよ。
君の言葉が、心臓に刺さって、体を前へ…
―あれ…?