8/3/2025, 1:11:04 PM
「ぬるい炭酸と無口な君」
君が好きだったレモンのサイダーは
まだ買えずにいる
いつか飲めるようになるのだろうか
皆 行ってしまった
わたし一人になっても
日々の暮らしは続く
ご飯を食べて 茶碗を洗い
湯を沸かし 洗濯物を干して
窓を開けて 風を確かめる
大丈夫 どうせなら図太く生きるよ
だからせめて 時々は
声を聞かせて貰えないかな
夢の中でいいから
5/29/2025, 11:30:22 AM
「渡り鳥」
昨日の私は別人
全部リセットして
次の街へ行こう
嫌な事があっても
好きな人につれなくされても
その時辛くても
時が経てば案外平気になる事を
大人の私は知っている
別の自分になったと思えば良いのだ
知らんぷりしてひとり
群れを離れて悠々と
空を游ぐ
5/14/2025, 11:29:40 AM
「酸素」
別に吸うても味も香りもしないでしょうが
嬉しい時には香ばしく
心配事があるとチリチリ辛い
やってしまった後悔の苦さ重さよ
どろりと背中にのしかかる圧よ
ゆっくり深呼吸して
痛む胸をさすりながら
悲しみの位置を酸素と探ろう
辿りついた酸素は
二酸化炭素に変わり
私の代わりに
淋しいとつぶやく
5/9/2025, 5:51:50 PM
「夢を描け」
最終の便で戻って来た
いちだんと大きな星をポカンと見ながら
ずり落ちるボストンバッグの持ち手を肩に戻しながら
何処に旅していても
私の家の鍵が鞄にあるように
何をしていても
手離せない夢はある
胸の奥に星が輝き続けている限り
未来が消える事はない
いつか扉を開くまで
夢の鍵を握りしめて
5/2/2025, 3:47:44 PM
「sweet memories」
むかし家にあった おもちゃの手押し車
押して歩くと アヒルの顔が
首を上げたり下げたり
そんな風に
幸せと後悔と
日だまりと痛みと
交互にひょこひょこ顔を出す
無表情なアヒルの木切れの顔が
憎らしく見えてくる記憶の反復横跳びだ
好きだった その記憶だけ
覚えていたいのに