「桜散る」
風に追われた花びらを
踏み潰しながらペダルを漕ぐ
このまま空の上まで漕いで行けたら
あの人の声が聞けるだろうか
葉桜にもまだ早い
枝に残された赤い花弁の
恨めしい残像と
坂道を降りて行く
「夢見る心
心が苦しいのも
苦しい心で足掻くのも
生きてればこそ
人生の 全てが嫌になっても
一筋の細い光が 足元を照らしてくれる
それは誰かが持つ灯りであったり
時には 自分が起した松明だったり
見知らぬ叡智であったり
一つ消えて
また一つ灯って
大丈夫 次は意地でも私が起こす
案外 なけなしの夢も捨てたもんじゃない
「言葉にできない」
久しぶりに楽しい夢だった
最近はいつも仕事の夢ばかり
もう無理と 思いながら目が覚める
たまには現実を忘れたい
明るくハキハキ 煩いくらいに元気
周りには そう言われる事が多いけど
玄関のドアを閉めたとたん
コートとカバンを投げ出して
へたり込んで 息をもらす
今朝 夢の中では
旅先で
何やら冒険の末に何やら感謝までされて
誰かと笑い合っていた
もう無理と 思いながら
その先は いつも言葉に出来ない
「逆光」
木曜日の公園
砂場で山を作っている
誰か立っている 足元だけ目に入る
顔は上げない 黙々と手を動かす
青い砂が足りない
誰かここに砂を足して
夕方のサイレンが鳴り終わる前に
手のひらで固めた
山の先は海
とうとう顔を上げると
靴だけ残して さらさらと消えていた
誰かここに青い砂を足して
サイレンが鳴る前に
私が消える前に
「寂しくて」
うつむいて歩いてたら
何かに蹴躓いた
ぐしゃりと潰れたそれは
よくみたら
私の夢だった
ちょっとあんた 今まで何処行ってたの
探してたんだよ
潰れたへこみを撫でたら
涙が出てきた
今日は夕暮れまでに 帰れたというのに
焼きたてのパンも買えたというのに
テーブルに明日のパンと 潰れた何かを置いて
ハンガーにコートを掛けて
ああ寂しい
と呟く