「夜空を翔ける」
皆が口を揃えて 美しいと讃える月が
私にはまるで
ダンボールに貼った色紙に見える
そんな夜に
ひとり 空を翔ける
張りぼての夜空から街の灯りを見下ろして
急降下 あれは昔住んでいた町
ここで毎日 空を見ていた
月も美しかった
今はもう 誰もいない町
あるはずのない 地面を蹴って
また空に昇る
輝く光は胸の中にある
私の空を照らしている
「ひそかな想い」
心だけは
せめて自由に思わせて
口から溢れそうな本音を飲み込んで
柔らかな布でくるみ
じっと抑えている
昨日はあなたの夢をみたよ
夢がほんとであれば良いのに
今日は星が一際きれいだと
あなたに話せたら良かったのに
ああ泣きそうだ
弱音を飲み込んで
星空をまぶたに閉じ込めて
じっと朝を待っている
「ココロ」
誰かに褒めて欲しい
頑張ったねと
でも自分の心の中を全部さらけ出して
引かれるのが怖いので
口から溢れそうになる言葉を
飲み込んで
いちど変換した単語を
書いちゃあ 消して
口をつぐんで電源を落とす
息を吐いて 身体を丸めても
消した単語がまた暗闇に浮かび上がる
助けてと
今はまだ 無理して笑うのが精一杯
いつか飲み込んだ言葉達を
消化して綺麗に並べ替えられたら
穏やかな日常を信じられたら
その時こそは褒めて欲しい
頑張ったと
貴方に
「1年間を振り返る」
振り返れません
まだ後ろを向くほどの余裕はない
でもよく頑張ったよ自分
土砂降りの中
重い足枷をつけて
ぼろぼろの傘をさして
とりあえず前に歩いていた
手放して置いて来たもの
いつの間にか道を違えた者が
後ろに見えるかと思うと
怖くて振り返れません
どうか数年後は
あの時は大変だったねえと
振り返れるような
平和な未来でありますように
私も
私の大切な人達も
「大空」
一人で暮らして
ひとりでご飯を食べて
ひとりで夢をみる
夢の中では誰かと会話をしているのに
目が覚めたら一人
面白いね
寂しさよりも
自由に過ごせる時間と開放を選んだ
曇りの日でも
雲の上は青空だし
そのうち下界にもお日様が顔を出す
いつか力尽きるまでは
ゆるゆるコツコツ日々を過ごしましょう
雲の上は いつも青空