いす

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10/15/2023, 12:12:42 PM

丸っこい目が、柔らかい瞳が、星空を流し込むその瞬きが、あなたを掴んでどうにも離さない。過ぎていく風が、あなたを拒絶した思い出の季節を引き連れてこようとしている。この冬を君ともう一度乗り越えられたなら、もう一度その手を掴んでもいいだろうか。

10/14/2023, 11:03:38 AM

高みへ行くべきである。幸福を目指すべきである。それが人の営みである。それらをすべて捨て去って、あなただけが手の届かないところへ行ってしまった。ひとじゃなくていいよ、こうふくじゃなくていいよ、あいじゃなくていいよ。あなただけが叶えてしまった。階段を上がる。下る。上がる。上がる。上がる。どこまでも平らな土地で、あなたがまっすぐな地平線を見ながら笑い転げ回る姿を夢想する。

10/13/2023, 11:56:50 AM

泣いた?笑った?怒った?その冷たい体で、もう子どもではいられない体温で、温めあってやっとひとり分の体温になって、そのくせずっと一緒になんていられなくて、泣くにも笑うにも怒るにも時間はなくて、ただ時間がなくて。目に焼き付けて生きていく。何の感情由来かもわからない涙を互いにこぼしながら、のこされたこの瞬間をわたしたちの手で永遠にする。

10/12/2023, 12:00:21 PM

コンビニで買ってきたお菓子をグラウンドの片隅で広げながら、野球部の練習を見ている。わたしたちがこんなところでうずくまってる間に夏は終わろうとしていて、アイスが溶ける速度をゆるめてそれを教えてくれる。つよくよわくうつくしくただしく、何の敵もないわりにはあらゆるものに怯えていたわたしたちが終わろうとしている。明日もまた会おう、変わりゆくわたしたちが、今日の続きの結果だと示すために。

10/11/2023, 2:44:05 PM

一年ぶりに開かれるカーテンが、窓が、埃を舞わせてあなたの目に涙を溜める。ここへはもう二度と来ないつもりだったのに。思いもよらずの短い時間で帰ってきてしまった。あなたの不在に埃たちはひっそりと降り積もって時間を毎秒数えていた。平等な時間がこの部屋にもあったのに。あなたの生きた一年は透明に分裂して、この部屋で埃たちとダンスを踊っていたのだと、もう一度カーテンを閉めるまでのあいだあなたはずっと噛み締めている。

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