青い風
今日はたったひとこと。
サッカー!
遠くへ行きたい
時々、全部が煩わしくなるときがある。
仕事もきらい、上司もきらい、住む街も嫌なところばかりが目について、友だちにもなんとなく会いたくない。
誰も私のことを知らないような、まっさらな「私」に戻っていちからやり直したい。
こういうの、リセット症候群って言うんだっけ――
私は旅行会社の軒先に置かれたパンフレットを手に取る。
素敵な温泉、景色、ホテルの写真をぺらぺらと眺めて、まあ、コレくらいだよね。なんて諦念を含みながらカバンに仕舞った。
クリスタル
きらきらしたものが好きだ。
光を受けて虹色に輝くクリスタルなどはその最たるものと言える。
窓にぶら下げるものも勿論置物も素敵だ。
こいつは床や机にもたくさんの反射した光粒を散らし、空間を華やかにしてくれる。
透明感が涼やかで、この時期には良いのかもしれない。
気になるのは陽を受けて机の上が燃えないかってこと。
夏の匂い
私は吸血鬼。夏はだいきらい。
日の時間は長いし、夜になっても暑くて外に出られたもんじゃない。
その上弱っちい人間どもがいつまでもへらへらと我が物顔で道を歩く。
何十年前だったか、ここなら見つからないだろうと優雅に空を飛んでいたら危うく花火というものにぶち当たりそうになったこともある。
突然固まった雨が降るし(私たちは流水で肌が焼けてしまうのだ)、かと思ったら雲の隙間からとんでもない日差しが落ちてくる。
こんな季節が好きな吸血鬼がいるならそれはとんでもない変態だ。
骨董品のラジオが日付の変更を伝える。私は人間どもの使っているカレンダーをめくった。
6月30日が剥がれ落ちた先に、忌々しい7月!
ああ、憂鬱。また夏が来る。
カーテン
2階の窓を開けて家を出て、帰ってきたら土が散っていた。
決して物騒な話じゃない。風で膨れ上がったカーテンが窓際のサボテンに接触したらしいのだ。
そこから土を撫で上げて、床へぽいぽいと放ってくれたらしい。
サボテン自体は無事である。何事もない表情で外出前と同様に青々としていた。
幸い連日の猛暑日でカラカラに乾いた土なので片付けは簡単に済みそうだ。
ちりとりを手に床に膝をついた私は接触したであろうカーテンを手に取る、と同時に鋭い痛みに襲われた。
……トゲが刺さっている。サボテンの――いや、サボテンさん、の無言の不満と怒りがカーテンをけしかけた私へと向いていた。
私はトゲを抜いて土を片付けたあと、肥料をサボテンさんの前に置いた。今日はどうにかこれで。