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8/9/2024, 4:26:42 PM

他多数の人間が羨望するような俺からの手を、少し口角を上げるだけで立ち去っていく君。ああ、別にいいんだ。いつも通りに、上手くいかなくたって、いい。
君はそんな軽々しく誘いに乗ってくれるような、今まで見てきたようなそんじょそこらの人間じゃないのだと、俺は誰より知っているから。

8/2/2024, 8:42:57 PM


雲の合間から差し込む光が、眠る君を照らしていて、なんだか、君の迎えが来たかのようでたまらなく恐ろしかった。

でも、そんなこと、もうある訳が無いのに。
手術後のリハビリが苦しくも楽しいようで、目を覚ましてから毎日汗をかいて頑張っている君が愛おしかった。ぐっすりと眠る頬に手を添えれば、その暖かい肌に心が酷く安心した。

窓の外を、光が漏れ出る雲の方へ生き生きと飛んでいく二羽の鳥が、これからの僕たちの姿でありますように。

8/1/2024, 3:51:49 PM

明日、もし晴れたら

7/31/2024, 12:35:10 PM

貴方が誰と話してるのか、どんな表情なのか、その場にいればずっと目で追ってしまうの
集中できなくて、逸らしたくても逸らせない。優しいあなたが心配してくれるから、また顔も赤くなるし、なんだか息も上手くできない
だから、一人でいたい、のに。ドジをする私を、また心配してくれるあなたに、密かに期待してしまうの。

7/30/2024, 6:22:08 PM



飼い犬のムギの散歩時間になったので、ぽつぽつと家がある田舎町を散歩しているとたまたま公園前を通れば、公園の中から犬の姿を見た男の子が走ってきた。


「え、」

「ねえ!この子名前なんて言うの?!すごい可愛いなあ」





おまえ、おまえは 「なんでおまえ、なんで」
「? どうしたの?」


駆けてきた少年は10年前、交通事故により命を落とした幼なじみの姿だった。他人の空似なんかじゃ済まないぐらい、消えた記憶から声すら思い出し、酷似しすぎている目の前の少年に嬉しさよりも恐怖を感じた。
少年は、特に何気もなく、純粋な瞳で笑みを浮かべている。

まだ蒸し暑い夏の夕方にも関わらず、全身から汗が止まらずリードを持つ手が震える。

足元に座り込んだムギが、動かないことを不思議に思ったのか僕の顔を澄んだ瞳で見ていた。

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