明日、もし晴れたら
貴方が誰と話してるのか、どんな表情なのか、その場にいればずっと目で追ってしまうの
集中できなくて、逸らしたくても逸らせない。優しいあなたが心配してくれるから、また顔も赤くなるし、なんだか息も上手くできない
だから、一人でいたい、のに。ドジをする私を、また心配してくれるあなたに、密かに期待してしまうの。
飼い犬のムギの散歩時間になったので、ぽつぽつと家がある田舎町を散歩しているとたまたま公園前を通れば、公園の中から犬の姿を見た男の子が走ってきた。
「え、」
「ねえ!この子名前なんて言うの?!すごい可愛いなあ」
おまえ、おまえは 「なんでおまえ、なんで」
「? どうしたの?」
駆けてきた少年は10年前、交通事故により命を落とした幼なじみの姿だった。他人の空似なんかじゃ済まないぐらい、消えた記憶から声すら思い出し、酷似しすぎている目の前の少年に嬉しさよりも恐怖を感じた。
少年は、特に何気もなく、純粋な瞳で笑みを浮かべている。
まだ蒸し暑い夏の夕方にも関わらず、全身から汗が止まらずリードを持つ手が震える。
足元に座り込んだムギが、動かないことを不思議に思ったのか僕の顔を澄んだ瞳で見ていた。
20回目の夏。
私はもう、大人になってしまった。貴方は大好きだったけど、私は未だにメロン味のかき氷が苦手だった。
あの時から、3度目の夏祭り。
貴方は、夏の風にさらわれたまま、私を、置いていったのだった。
メロン味のかき氷は、もはや熔けて、ただの液体になっていた。
夏休み、父親の実家近くにある小さな遊具が少しある公園で1人ベンチで漫画を読んでいた。
こんな所、子どもなんて通りやしない。幼ながらどこか黄昏ながらセミの鳴き声と、どこかで流れている水の音を聞いていた。。
突然 砂利をふむ音、小さなすべり台を登る音が上から新たに聞こえてきた。
見上げた先にいたのは、この後どれほど離れようと恋焦がれるきみで、あの時きみは そう 神様が舞い降りてきたように昼間の太陽の後光を抱え、耳に通る美しいその声でこう言った
「ねえ!ねえ!君! 名前!なんていうの?」
神様は、愛おしい笑みを浮かべながら、此方を見つめていた。