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6/5/2022, 12:03:41 PM

狭い部屋

黒くて、狭い部屋に居た。
何も無い、四方八方黒色の壁、床、天井に囲まれた。
果てしない廊下しか他に無い。

部屋の中を歩いてみた。
コツ、コツと足音を立てて歩くと、反射するだけ。

まるで……私の心だ

6/3/2022, 11:03:27 PM

ティラティラと星が輝く店にて会ったとある2人の男女のお話。
キラキラではなくティラティラと輝く店を。

俺はとあるレストランに食べに来た。
ニュースで有名だと言ってそれに流されて食べに行く訳では無いが、友人が「食べに行こう」とうるさくて、嫌々来てしまった。
あまりにもティラティラしてて、目が潰れそうだ。
豪華な料理が並ぶ。思わず唾を飲んだ。
並んでても分かる距離の料理。部屋の奥から料理の匂いが届く。とてもいい匂い。
―――ただ、眩しい。目が潰れそうなほど。

ようやく順番が来た。人が多いと少し大変だな。
忙しく働くレストランの店員。
「どうだ?ここいいだろ」
「人が多くて大変だな」
「違いねぇ」
「おれはパスタを取りに行ってくる」
「りょ」
りょは、了解という意味。

ミートソースパスタが大好物だ。それを取りに行くと、隣に来た女性に一目惚れした。
いや、早いとは思うが……あまりにも美しかったもので……
「あの、」
「あ、先でしたか?」
「いえ、あの、……とてもお綺麗ですね」
「うふふっ、ありがとうございます」
笑った彼女の顔が、とても優しかった。
整った顔に、ティラティラ光る髪。おれは文字通り、「開いた口が塞がらない」という状態になった。
「あの、大好きです……」という言葉が出てしまったが、すかさず「パスタ」を付け足して誤魔化した。
「あぁ!私も大好きですよ!パスタ!美味しいですよね」
ニコッと笑う彼女の笑顔は、無邪気な子供みたいでした。
「はい、ではまた縁がありましたら……」
「はい!またお会い出来たら!」
おれは、パスタを食べたあと、店を後にし帰宅した。
友人に、「なんか恋したか?」と聞かれた。
「いや、別に何も無かった。ただ、パスタが美味かった。」
澄まし顔で嘘をついた。
「なんじゃそりゃ。でもまぁ、お前らしいな!」
そう、何も無かった……おれは、そう思い込むしか無かったのだ。おれには、彼女に釣り合う程の何かを持っていないのだから、忘れよう。

これは失恋の物語。はじまりは、星が輝くレストランにて。

6/2/2022, 10:39:58 PM

私は告白します。
偽って、生きてきました。
もはや私には辛いや苦しい、悲しいなどの感情が分からないのです。
あるのは、どこかに感じ、何処も感じない不安と、焦りだけ。
私の人生は、不安と苦しみ……でしょうか。
周りには「無理をしてる」と言われますが、私にはさっぱり分かりません。当たり前のことなのです。苦しむことは、恥をかくことは、辛いことは。
「大丈夫?」と聞かれれば「大丈夫だよ」と笑顔で言います。
最近では睡眠薬を飲んでいます。昼間に。
あれがないとやってられません。
それでも、私は異常と思われないように、普通の人間を装っているのです。
最初は娯楽で書いてた小説さえ、背中に焦りというか、未来への不安と、過去の心の傷の安堵に挟まれてさらに精神を疲弊させます。
……もう嫌なんですよ、生きているのは。
でも、死にたくても死にたくても、消えたくても、それを何度願っても呟いても、人を装っても、生かされて、そして人を失格していると感じて演技があまり出来なくなる。人間を装うのは辛い、もう疲れたとさえ感じます。
しかし、疲れ……とはなんでしょう。
私には分かりません。何もかも、全部です。
自分が本を書いたとて、それが報われることは無い。
人を失格してる……それさえも私の妄想なら、
どれだけ苦しめられたことでしょう。
友人に才能がないと言われ、小説投稿サイトの作品を見て、文才があると言ってた時は、正直失望しました。勝手に失望しましたとも。
それ以来、私には何も無かったのです。
希望も、夢も、未来も、自信も、失いました。
「ああ!自分の影でさえ憎たらしい!!!早く死んでしまえ!!!!お前が醜い!!!私自身が!!どうして生きている!!!早く消えてしまえ!」
「いや、生まれてきたのが間違いだったと!!!そう言われない私は、地獄に落とされたも同然なのか!!!!本当に嫌になる!!消えてくれ!!!」
言葉で傷ついた私が、文字を綴るなど、笑える。
しかし、私にはそれしかないのです。
1日に最低でも1つの作品を作らないと、私の中の自己嫌悪や自己卑下という悪魔が暴れるのです。
私は自分を認めることができません。それが怖いから、
自分には、誇れるものなんてないのです。
昔はひとつはあったのですが、友人の言葉でその誇りさえ失いました。
はははっ、と笑いさえ込み上げてきて、もうどうでもいいと感じました。しかし、死ぬにはまだ早い。
私を苦しめる世界なんて、私と一緒に消えてしまえばいいのに……と、そう願うばかりです。
美しくて、残酷な世界。
私は、世界と言うより、社会に嫌悪を抱いています。
しかし、一生懸命働いてる人を見ると、その心の中で思う社会に対する嫌悪の矛先は、自分を向けられているのです。疲れました、睡眠薬が足りません。
買いに行かなければ、そう思ったのです。
もはや私は、人に期待しません。
死ぬまで偽り続けます。

私は、もはや人でも大人でも子供でもない、精神異常者でもない何かに成り下がってしまいました。

6/1/2022, 12:00:43 PM

梅雨

ぽたりぽたり

水面に落ちる波紋の水面

落ちる 落ちる

ぽたりぽたりと

美しい音を奏でる刹那の演奏会

美しい音を奏でる為に死ぬのか

ぽたりぽたりと命尽きてゆく

今日は美しい演奏会が長く開かれる

傘もささずに飛び出してしまえよ

風邪はあとから引けばいい

傘を差すなんてもったいない

どうせ差すなら、屋根の下で休ませるが吉

雨のリズミカルな音を聞こうよ

深く、深く刻み込むリズムで私の心を洗ってくれ

ぽたりぽたり

6/1/2022, 4:05:13 AM


「明日も暑い?快晴かもしれない?」
「そんな事は後でいくらでも話せる。それより、話したいことがあるんだ。」
「でも、思い出せないんだよ。」
「何か、大事な……いや、自分探しではない。いや、あながち間違ってはいないが、もっと大切な……」
「……思い出せないな。」

あなたに伝えたいことがあるのに、……

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