貴方が消えてしまう夢を見た
はじめから何もなかったように
まるで空に溶けるみたいに
私たちは永遠じゃない
いつか別れが来ることもわかってる
でももう少し先でもいいでしょう?
私はずっと叶わぬ夢を抱いたまま
貴方との終わりを追いかけている
貴方に出会ってから何もかも変わった
私の中の全てが
まるで光に満ち溢れたみたいに
今日は貴方に会えるかもしれない
貴方と話せるかもしれないと考えたら
どうしようもなく胸が高鳴って
毎日が楽しくて輝かしかった
でも貴方はそうじゃない
私がいてもいなくても
貴方にとってはどうでもいいことだから
もう私のことは忘れてください
このまま貴方を追いかけ続けていたら
いつか貴方を害してしまうかもしれない
どうかそのまま私を思い出さないで
本当に心が苦しくて
まるで体が酸素を失ったみたいだけれど
綺麗な記憶のまま終われるのなら
こんな痛みも悪くないと思えるの
どれだけ手を伸ばしても
貴方に触れることはできなくて
どれだけ想いを叫んでも
貴方は何も聴こえていない
聴きたくもないのかもしれないね
だって私は貴方の眼中にもない
貴方は私に興味がない
私がどんなに貴方を見ていても
目が合ったことなんて一度もないもの
私の想いは届かない
でもそれで構わないわ
貴方は私に恋を教えてくれたから
月が美しく輝く夜
私はある歌を聴いていた
それは貴方が好きなラブソングだった
"唯一人のあなたへ、本当にありがとう"
"ずっとあなたを愛しています"
"これからも側にいて、支え合って生きていこう"
今の私を貫くような歌詞ばかり
自分たちによく似合う曲だなんて冗談を言って
幸せだと笑い合っていた日々が遠く感じるわ
でも、これでよかったんだよね
貴方はもう私を愛せなかった
きっと私も、もう貴方を幸せにできなかったから
だから、貴方を想うのはこれでお終い
私は替え歌を口ずさみながら帰路につく
"唯一の貴方へ、今までありがとう"
"ずっと貴方を愛していました"
"これからは別の道、互いを忘れて生きていこう"
月のない夜だった
ふと机を見ると、一通の手紙が目に入った
それは私が貴女に送るはずだったもので
手紙を開くと「愛している」とだけ書かれていた
私は少し前まで、確かに貴女を愛していた
貴女といるだけで幸せだった
私はその幸せを愛せなくなってしまった
別れ際、静かに泣く貴女を見ても
涙を流すことなんてできなかったのに
どうして今になって涙が出てくるのだろう
もう貴女を愛せない
後悔しても意味などないのに
私は「愛している」の文字を消し
送ることのない手紙に言葉を綴った
"貴女へ、本当にごめんなさい"
"今まで私を愛してくれてありがとう"
"どうかお元気で、さようなら"