Lacryma

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5/4/2025, 3:47:03 PM

同じ大地の上にいるのに

同じ空を見ているのに

貴方の声も姿も人となりも

私は何一つとして知らない

どこかでその瞳を見かけても

それが貴方だと気づけない

どうしてこんなに切ないのかな

きっと、これから先もずっと

貴方を知ることなんてないのに

どうしてそんなことが悲しいんだろう

5/2/2025, 6:26:42 PM

街の一角にある本屋で小説を探していた

今の私の心を代弁してくれる本が欲しかった

どうしようもなく悲しくて

心が壊れてしまうような後悔の物語を

店内を回っていると、ある一冊の本が目に入った

『sweet memories』と名付けられたその本は

二人の恋の成就を辿る王道の恋愛小説だった

どうせ最後はハッピーエンドなんだろう

「なんてくだらないの」

私は本を戻し、店を飛び出して当てもなく走った

酷い雨に打たれていることも気にならなかった

意味のない考え事ばかりが心を占めていて

ねぇ、行き場のないこの願いは

どうやって捨てればよかったんだろう

私だって報われたかった

好きな人に好きになってもらいたかった

こんな痛みに苦しめられるくらいなら

いっそ貴方を知らないままでいたかった

5/1/2025, 2:03:32 PM

「明日は遂に歴史に刻まれる瞬間となり

そして、私の最期の日でもあるだろう」

そう言い放った貴女の瞳は

覚悟と揺るぎなき信念に満ちていた

でも、その覚悟の裏にある恐れと憂いを

私はずっと知っている

「怖いのか、貴女が向かわんとする死の先が」

私が問うと、貴女は微笑んで頷いた

「怖いさ。私のように反乱を率いたものは

きっと天に迎え入れられることもない」

こんなに泣きたくなったのはいつぶりか

人々を救おうとした貴女の想像する未来が

あまりに報われないものであるように感じて

「天国は遠く在るものだ

近くに在っては皆すぐに行きたがってしまうだろう」

口をついて出た夢物語に己が呆れたが

「その通りだ」と笑う貴女に、私は心から祈った

願わくば、遥か先の平和な未来で

貴女が全てを忘れて幸せに生きられるように

それが、風とともに自由を謳う貴女への

唯一の手向けだっただろう

4/30/2025, 2:31:39 PM

貴方は私の憧れだった

だから貴方がいなくなった後

ずっと貴方の軌跡を追った

最後まで貴方に届くことはなかったけれど

私はそれで幸せだった

憧れは憧れのまま

二度と貴方に追いつかないままで

ずっと理想を探していた方が幸せだから

4/29/2025, 5:38:56 PM

太陽みたいに暖かくて

いつも私を助けてくれる貴方のことが

私は好きになれなかった

貴方はきっと皆に愛されていて

皆に必要とされていて

それを思い出すたびに

私は特別になれないことがわかっていたから



貴方はいつも私を惨めにさせた

私はずっと貴方を追いかけ続けて

だけど貴方はそのことに気づきもしない

それでも貴方を嫌いになれなかった

だって貴方は私がどんなに過ちをおかしても

いつだって月のように優しくて

慈愛をもって、私を許してくれたから

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