「明日は遂に歴史に刻まれる瞬間となり
そして、私の最期の日でもあるだろう」
そう言い放った貴女の瞳は
覚悟と揺るぎなき信念に満ちていた
でも、その覚悟の裏にある恐れと憂いを
私はずっと知っている
「怖いのか、貴女が向かわんとする死の先が」
私が問うと、貴女は微笑んで頷いた
「怖いさ。私のように反乱を率いたものは
きっと天に迎え入れられることもない」
こんなに泣きたくなったのはいつぶりか
人々を救おうとした貴女の想像する未来が
あまりに報われないものであるように感じて
「天国は遠く在るものだ
近くに在っては皆すぐに行きたがってしまうだろう」
口をついて出た夢物語に己が呆れたが
「その通りだ」と笑う貴女に、私は心から祈った
願わくば、遥か先の平和な未来で
貴女が全てを忘れて幸せに生きられるように
それが、風とともに自由を謳う貴女への
唯一の手向けだっただろう
5/1/2025, 2:03:32 PM