どうして貴女は
見ず知らずの私を助けて
微笑みかけてくれたのでしょうか
その命が終わるまで
私に愛してると言って
私が貴女を傷つけて、悲しませてしまっても
貴女は最期まで私から離れなかった
どうしていつも優しくしてくれたのですか
それが、貴女の愛情だったのですか
この世界は苦しみに溢れているけれど
どうしようもない悲しみに泣き崩れ
絶望に足が竦むこともあるけれど
それでもずっと、私たちは
希望を持って、光を追って
言葉を紡いで、支え合いながら
太陽の下で生きていきましょう
もうどうしようもない
希望を託された勇者一行は
最後の砦を破壊して
私の身体も光に落ちていく
人々が私を惨いというのなら
彼らも私と同じ心を持っているのね
だって、作り上げた安息の地は
闇に生き、紡いだ理想は
彼らの光に気圧され、消えてしまったの
門が閉まる寸前の時間に教会に駆け込み
一心不乱にお祈りをする
誰もいないこの時間なら
あの神父様と少しでもお話できるかもしれない
決して叶うことはないけれど
せめて想いを告げる機会だけでももらえたら
一人悶々としていると、隣から声をかけられた
「何をお祈りしているのですか」
驚いてその方を向くと、例の神父様がいる
私の隣に座っている。どうして
「つい気になって声をかけてしまいました」
そう言って微笑んで、私に
女神様、なんて悪趣味な
今までこんなことなかったのに
こんなにいきなり
まるで心臓が締め付けられるような
なんて言えばいいのかわからない
あぁ女神様、こんな私を笑っているのですか
女神様、私は一体どうすればいいの
月の光が射し込む小さな教会で
女神の姿を象ったキャンドルを祭壇に置いた
あぁ、女神様
貴女が溶けて消えるとき
私の信仰心も燃え尽きるのです
こんな、人々の想像を形にしただけの偶像に
存在するかもわからない貴女に
恋をした私をどうか、許してください
これで貴女への想いに終止符を打つから
貴女が本当に存在するというのなら
どうか最後に、私の前に姿を現して
なんて、こんな馬鹿なこと
身勝手な自分がひどく滑稽で笑えてしまう
私は、貴女の存在すら信じきれていないのに