人は儚いものを好む。
だからだろうか。
あなたの笑顔に
どうしようもなく惹かれてしまうのは。
その瞳の奥には哀愁を誘う、
そんなような美しさがある。
私の心を掴んで離さない。
ふと、懐かしく思うことがある。
それは何かを見たからとかではなく、突然訪れる。
どこか温かくて、包みこんでくれるような優しさ。
もう過去には戻れないと知っているからこそ、ある感情。
ああ、もう一度戻りたい。あの頃に。
目にうつる全てが特別だった幸せな思いで。
もう手に入れることすら叶わない私の宝物。
もう一つの物語。
この言葉を聞いた時君はこう思うだろう。
あの時、もし違う選択をしていたのなら違う世界が合ったかもしれない。
それはあたかも自分が生きる、今の世界が正しい選択だったかのように語られる。
でも違う。
もう一つの物語とは、今君が生きているこの世界線なんだよ。
あったかもしれない、可能性の世界こそが正しい
物語なんだ。
君らが生きるこの世界はいつだって物語の主軸としては描かれない。
影に埋もれて存在すら認識されない。
だって我々こそがもう一つの物語なのだから。
それは深夜、誰もいない暗がりの中でただ一人佇む君を見た。
天使と見紛う風貌に僕の心は一瞬にして奪われた。あまりの美しさにさに魅了され僕はしばらく動くことさえ出来なかったんだ。
それに見て君は優しく微笑んでこう言ったよね。「会いたかった。」始めて会ったはずなのに、その声には聞き覚えがあった。何故だろうか、懐かしささえ感じてしまったよ。
「もう行かないと。」そう言うと僕の手を握って何かを渡してきた。小さい何かだった。
よく確認しようと手を開いた瞬間、目の前が暗転して気が付いたらベッドの上だった。
夢なのかも、そう思ったけど僕の手の中には確かにそれがあったんだ。それを見て思ったよ。
ああ‘‘君だった‘‘んだって。