「行かないで」この一言が言えたのなら、どんなによかっただろうか。
全てを捨て、闇へと足を踏み入れたあの子に、俺は何も言ってやれなかった。
大切だったのに。守りたかったのに。
でも、もう今では遅い。
手を伸ばした先には何もない。
あぁ、、行くなよ、、、俺を置いていくな、、
俺が、俺だけが、、またひとりぼっちだ、、、、
非凡な自分の才能に呆れる。
誰でもできるようなことができない、私にとって当たり前は当たり前じゃなかった。
皆んなが当然のように持っているものは、私からしたら必死に足掻かないと手に入らなくて、やっとの思いで手に入れても周りはもう違うものを手に入れている。
最後に残るのは虚しい気持ちだけ。
今日も必死になっちゃってばかみたい。
こーんなにも晴れてる空も、明日には曇っているかもしれない。
誰もが羨む人でも、その人にしかわからない苦悩があるのかな。
なら、もしかしたら私にも羨ましがられる何かがあるかも。
そんな期待、結局は宙に消えてなくなっちゃうのに。
毎日毎日繰り返してる。
可能性を否定できないまま、苦しみ続ける。
何もかも失った悲しみに優しい雨音を。
ポツポツ、ポツポツと同じリズムをくりかえす。
でもいつかは晴れてしまう。
私の心はまだ晴れていないのに。
ああ…そうやってまた私を置いていくのね。
『やさしい雨音』
そんな無邪気な顔で私に笑いかけないで。やさしくしないで。もっと、私を遠ざけてよ…。
叶わない恋だなんてわかってる、それでも好きになってしまった。なら、せめてこの気持ちだけは閉じ込めておかないと。貴方に気が付かれる前に。
きっと気づかれてしまえば嫌われてしまう。
そんなのは耐えられない。
だから誰にも見えないように、誰にも悟られないように、隠し続けるの。
ね、先生。
君が眠りについてからどのくらいの時間が流れだろう。
君がいた景色はとても鮮やかで、なんでもないものでさえ君となら全てが色づいて見えた。
でも今はどうだろう。
僕一人ではもうなにも見えない。楽しくないんだ。
君を求めて伸ばしたこの手も虚しく空を切るだけ。
こんな思いするくらいなら
君に、出会いたくなかったよ__。