「一筋の光」
「後輩よ。一筋の光に抗ってはならない。」
「あの…先輩…?…なに…突然…?」
先輩は春雨スーブの春雨を啜りながら云う。
「私の家の近くに神社があり、その先にスーパーがあってな、
神社の中を通ってスーパーに行くんだが、その日は、
たまたま本殿に近付いたら、私の顔に一筋の光がかかってな…!」
先輩は割り箸に春雨を絡めたまま話を続ける
「社殿からだぞ?社殿からだ。社殿から一筋の光が放たれたと云うことは神の加護を無下にしてはならぬと云うお告げだと私は思っている。」
それは多分、太陽の光がたまたま先輩の顔に当たっただけで…。
「後輩よ。神の加護を無下にしてはならぬぞ」
先輩の割り箸に絡み付いたままの春雨はスープによって
一筋の光のように光っているように見えた。
「哀愁を誘う」
廃駅になったベンチで
誰にも見られることなく
色付いていく紅葉に
漂う哀愁の朝露
錆びたベンチは
雀たちの井戸端会議場になっていた
朝露に濡れていた錆びたベンチは
解体されていく
「眠りに付く前に」(一行詩)
今日一日の出来事を振り返ることもなく床に就く
◆
深酒をして紫煙を漂わせて浅い眠り
「鏡の中の自分」 (一行詩)
鏡は着飾りした姿を映すけどココロまでは映さない
◆
鏡の先にいる私は私に問い掛け替わる姿は変わり替わり
◆
仮面を着けた私は見えなくて仮面の姿のまま一生終える
「永遠に」(一行詩)
永遠に悪事だらけが蔓延する世界
◆
愛に永遠には要らない月曜日の朝にさよならを
◆
永遠に?永遠と?無くならない金を
◆
永遠に命が伸び続けて死を求める
◆
永遠に続けてしまう収集と蒐集の沼よ
「理想郷」
理想郷を作りました
小さな盆に自分が理想像とする社会を
憎悪ばかりが産まれる
現実から目を背け
小さな理想郷に逃げ込む
理想郷なんて何処に作っても
憎悪が蔓延してしまえば
理想郷を作ったて意味が無い
理想郷の社会なんて
何処にもありゃしないんだ