#48『部屋の片隅で』
電気も消えたまま。開けた窓から風が吹いて、白いカーテンは揺れ青白い光が差す。ソファでうずくまって泣く私はより部屋の空気を重くする。
私達の関係を保証したそれも所詮ただの紙切れで、残った写真の笑顔に甘い言葉はいつから偽りに変わっていたのだろう。
突如、ボヤけてもわかった煌めきは前に投げ捨てた指輪だった。
#47『さよならは言わないで』
レコードを出してジャクソン5のNever Can Say Goodbyeをかける。ねぇ、コーラスしてくれる貴方がいなきゃ本当に淋しいじゃない。
#46『光と闇の狭間で』
あの子のほど善人じゃないし
あの子ほど嫌味じゃないはず
いっそどっちかに偏っていれば
もっと楽かもしれないけれど
あっちでチョイチョイ
こっちでチョイチョイ
のらりくらりが私のいつもで
そんな私に
本当の友達なんているのだろうか
今日も仮面を被って
フラフラ彷徨う
#45『距離』
平行線、点と点
心の距離とか物理的な距離とか
そういうのじゃなくって
なんていうか
ねじれの位置みたいな
時代も違う遠いところに
貴方も生きてたんだな
って思うわけです
ラヴェルがマルガリータの絵を見て
曲を作ったみたいに
今、私の目の前には戦時の遺書があって
身体ごと敵地へ飛び込み華と散る
その覚悟、誇り、家族への感謝、
やりきれない気持ちまでもが
人様が人様に書いたものだけれど
私は1人考えてしまうのです
でもね、そんな出来事も
辿っていけば今に繋がるわけで
途方もなく遠いはずのその距離が
人の心でだけは縮められるような気がします
#44『泣かないで』
生きてって言いたいけれど、そんな言葉をグッとこらえる。あなたの気持ちは最大限に尊重したい。自殺幇助は罪だけど、生きることを強要するのは?ただ抱きしめることしかできない自分はあまりにも無力だ。