葉月

Open App
6/30/2023, 3:31:36 PM

「赤い糸」

 私の運命の赤い糸は三本ある。

 私の生まれた場所には、真っ直ぐ南に大きな汽水池があり、その池の向こうに小さな社があった。「白竜さん」と呼ばれていた。 
 子どもの頃、池の淵でこんこんと水が湧き出る場所があり、お気に入りの場所だった。あれは九歳の時のこと。いつもの場所で遊んでいたら、家の裏山から蛇がぞろぞろと川の様にやってきた。あまりの多さに恐怖で立ちすくんでいると、足の間をすり抜けながら、池の中へと入り泳いで行った。白竜さんの鳥居に黒い丸が現れ、蛇はその中へと消えていった。その三日後、台風で裏山が崩れ家がなくなった。家族は避難していて全員無事だった。
 祖母は毎朝、白竜さんにお水をお供えして手を合わせていた。   
 
 私はやがて結婚して蛇歳生まれの息子ができた。やがて離婚して、大きな手術を受けた。その後、たくさんの神秘体験を繰り返した。その中で最も印象的なものが悪魔との戦いに苦しんでいた頃、
「私もあなたを守ります」と現れたのが白竜さんだった。私の周りにトグロを巻いて隠してくれた。

 その後、私はいまの夫と出会うことになる。初めてデートした時、植物園が閉園していたので、近くの深大寺に行く事になった。そこで出会ったのが、こんこんと湧き出る泉だった。いまの夫も蛇歳である。
 赤い糸は一本とは限らない。手術は二度目も成功して、まだ何とか生きている。しかし今のところ治る見込みはない。先日、息子に初めて白竜さんの話をした。私はガラスの龍を祀っていて、毎朝手を合わせている。息子に死んだら龍の世話を頼むとお願いした。手を合わせると白竜さんの社がまぶたに浮かぶ。
「私と白竜さんはこの龍を通じて繋がっている」
 そんな話をした。白竜さん、息子、いまの夫。私は今生、三本の赤い糸で結ばれたご縁があった。来世でも、いずれかとのご縁があります様にと祈っている。


6/29/2023, 1:22:11 PM

「入道雲」

夏の入道雲のあの眩しさは
どんな白よりも輝いている
真昼の太陽の光を反射しながら
心のままに成長を続けて
その雲の頂上がどんどん高くなる
夏空の青は入道雲をさらに美しくする

大きく大きくなった入道雲
やがて雷鳴と共に驟雨となる
すべては夏という季節がみせるドラマ 
地上の水蒸気が雲になり成長し
分子の活動は電気を生み光を放つ
誰にも止められない水のエネルギー

心を研ぎ澄ませれば感じるだろう
わたしの傍にあなたの傍に
水の精霊の確かな息吹が
この世界の本当に大切なものは
目には見えない、けれど
手を伸ばせば、そこにいる


6/28/2023, 10:26:24 AM

「夏」

ウクライナでの戦争が終わる気配はない
北極点の氷が溶け切るかもしれない
世界のどこかで 
新たな戦争や紛争が起きるかもしれない

シベリアの永久凍土から
さらに大量のメタンが放出され
その事を真剣に心配する人間は
ほとんどいない

いままでの人生で最悪の夏
人と人はネット情報で分断され 
人間の生存本能はいつも逆作用
繋がる便利さの分だけ憎しみあう

第六絶滅期の開始を告げる夏 
私達は同じ地球に生きる人間なのに
気がつけばエスカレートした自国愛
その愛の指し示す末路は想像不能
 
それでも地球は変わらずに美しい
パンドラの箱の底に眠っている希望
その光を感じる貴方のなかの愛が
新たなる世界へと導いていく


注意⭐︎推敲しました。



6/27/2023, 10:11:25 AM

「ここではないどこか」

後日、書きます。

6/26/2023, 11:11:20 AM

「君と最後に会った日」

君はとても寡黙な猫だった
にゃあとなかないばかりか
自己主張というものもなかった
猫もいろいろな性格があるのだな
そんな事を考えさせられた
君のことを考えると後悔ばかり
思い出すと眼が潤む
「ごめんね」
あの時どうすれば良かったのかな?
いまも答えはない

Next