星屑となりて
うつろふ覚悟を持てとその人は
くろがねの如く 硬く脆く
輝きて錆びにけり
(250721 星を追いかけて)
例え一年分の作り置きのおかずやデザートが冷蔵庫にあっても、一年後の自分が満足して生活できるようにしたいと欲求や不安が消化不良を起こして、まさに今追加の食材を買ってしまった。
(250720 今を生きる)
夕方の赤みがかった青空に浮かぶ雲を眺めた。羽先のような白い雲が空を覆っている。雲の端を子どもの柔らかな手で悪戯に引っ張られたような形をしていた。
良い雲だと眺めていると、その白い筋から段々と青い血管が浮かんできた。空も生きている、どくりと私はときめいた。雲の隙間から空の静脈の鼓動が震える。
空の血管の中に入っていきたいと、私の中の鳥籠にいる小鳥が羽ばたく。なら飛んでいけと群青の血潮が溢れる空に放った。
(250719 飛べ)
「誕生日以外何でもない日って祝うなら、自分の死んだ日も『なんでもなーい!』って祝っちゃって良いの?」
「生まれた日は特別に何でもあるのに、死んだ日が特に何でもないって、ホント皮肉だね」
(250718 special day)
自分はアロマンティックかもしれないと思いつつも、本当は人との繋がりを恐れている。現実の人間に恋愛感情を持ってはならないと怯えている。私なんかと愛情を交わしてはならない。隣に並んでも、人肌の温もりよりも人影の暗さに怯えてしまう。落ち着かない木陰のようだ。私の隣で真っ黒に膨らむ木々が騒つく。影の先に触れられてしまう恐怖に支配される。
単なる潔癖症と笑ってもいい。事実、二次元の人間には恋愛も性欲も抱く。彼らとなら恋愛をしても良いと安心している。何せ、彼らは現実にはいない、現れない、出てこない、触れられない。私の頭の中にいるから、どう接しようが私の勝手だ。
平面世界の住人の影の中に、私は引きこもっている。穏やかな暗闇の中、自分の目で妄想の明かりを点けて、影絵のようにひとりで自分の手で恋愛ドラマを繰り広げていく。ただ現実の人々に私の影遊びは見えない。影絵で遊ぶ手や腕を握っても良いと勘違いして触ってくる。黒い影の触手を伸ばしてくる。肌をさらけ出しているから触っていいなんてありえない気持ち悪い触れるな触るな。
(250717 揺れ動く木陰)