自分はアロマンティックかもしれないと思いつつも、本当は人との繋がりを恐れている。現実の人間に恋愛感情を持ってはならないと怯えている。私なんかと愛情を交わしてはならない。隣に並んでも、人肌の温もりよりも人影の暗さに怯えてしまう。落ち着かない木陰のようだ。私の隣で真っ黒に膨らむ木々が騒つく。影の先に触れられてしまう恐怖に支配される。
単なる潔癖症と笑ってもいい。事実、二次元の人間には恋愛も性欲も抱く。彼らとなら恋愛をしても良いと安心している。何せ、彼らは現実にはいない、現れない、出てこない、触れられない。私の頭の中にいるから、どう接しようが私の勝手だ。
平面世界の住人の影の中に、私は引きこもっている。穏やかな暗闇の中、自分の目で妄想の明かりを点けて、影絵のようにひとりで自分の手で恋愛ドラマを繰り広げていく。ただ現実の人々に私の影遊びは見えない。影絵で遊ぶ手や腕を握っても良いと勘違いして触ってくる。黒い影の触手を伸ばしてくる。肌をさらけ出しているから触っていいなんてありえない気持ち悪い触れるな触るな。
(250717 揺れ動く木陰)
7/17/2025, 12:29:22 PM